外伝 クロスアンジュ編その2
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とサラは言葉を濁すと彼女はそのまま壁に掛かっている模造刀を一振り取るとアオの正面に回り剣をかまえた。
「お相手願いますでしょうか、アオさま」
鋭い剣気が飛ぶ。
「オレでよければ、喜んで」
久々に握る刀に懐かしさを感じ、ついアオも応じてしまった。
サラと対峙したアオはサラの出方を伺う。
アオは刀を腰に据え抜刀の構え。
サラは上段に構えると気合と共に振り下ろした。
「やぁっ!」
「ふっ!」
振り下ろされたサラの太刀を腰から抜き放たれたアオの刀が押し返す。
二合、三合と切り結び、互いに攻撃が鋭さを増していく。
サラの攻撃は気持ちの良い剣気をおび、鋭い。
何度も何度も、その身になじむほどに刀を振ったのだろう。しかし、それゆえに読みやすく組し易い。
「はぁっ!」
気合と共に打ち放たれたサラの一撃をアオは身を捻って避けた。
「しまった!?」
スッとサラの首筋に突きつけられた刀。
「私の負けですわね」
「ああ。その歳にしてはサラは強いね」
「ありがとうございます。でも、これでもっとあなたのもになりたくなりましたわ」
「どうしてそうなる」
「近衛中将たる私と互角を張る武人なんて殆どおりませんもの。それがドラゴンの男性ともなれば愛して欲しくなるのは当然でございましょう?」
「こら、サラ子。コイツは私のものよ、ちょっかい出さないでくれないかしら」
とアンジュ。
「ええ。ですから、アオさまはアンジュのもの、私はアオさまのもの。なんの不都合も無いではありませんか」
「不都合だらけよっ!」
「いいではありませんの」
「この、泥棒トカゲ女っ!」
「今はあなたもドラゴンですわよっ!」
ウガーとアンジュが吼え、いつもどおりサラとの取っ組み合いが始まる。
腕と腕、足と足、尻尾と尻尾をぶつけ合う。…なんかいつの間にかアンジュの尻尾の扱いが巧みになっているような気がする。
「まったく…この二人は…」
ため息を一つ、アオは汗を流しにその場を辞した。
この国は温泉入浴の文化があるようで、露天の源泉掛け流しが楽しめる。もちろんドラグニウム汚染されている事を考えるべきだったのだが、アンジュもヴィヴィアンも平気そうに暮らしていた為に失念していた。
その為アンジュが失調したのだから自分のうかつかに腹が立つ。
とは言え、アオはこの程度は全く問題が無いので体を洗い、ありがたく温泉に浸かる。
行儀は悪いが仰向けになって温泉に浮くように空を見上げた。
戦いはどうやら空中戦になったらしい。慣れない翼を持ち前のガッツと適応能力で物にし自在に空を飛んでいるアンジュが目に入った。
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