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事実、見透かされているのかもしれないが。
 そうだ。そうなのだよ。こんな世界は狂っている。金で誰もが力、権力、頭脳、ルックス、何もかも金で買えてしまう。果ては想像を絶するものだったりと。
 この世界には、人々には、運命があるのだ。そんな運命さえ金で買えるなんて『間違っている』。
 疑問なんて弱く小さいものなんかじゃない。これは確信だ。こんな世界は間違っているのだ。
(そうだ。お前の言うとおりだ。この世界は間違っている。それをお前が訂正するのだ。その為に、お前には“チカラ”を与えよう。)
「それはどんなものなんだ」
(強いて言えば『神の力』っていう感じかな。想像できる神話の力を全て使える。例えばメデゥーサの石化の眼だったりツナツヒコの風のチカラだったりとね。使えるチカラは様々だ。あ、でも君はまだ日本神話の力しか使えないね。使っていく中にいろいろ使えるようになるから、心配しなくてもいいけど。)
 そうか…。物語で表すとまるで魔王みたいだな。頑張って力をつけてきた勇者たちに、なんでもできる魔王か。人間にとってはこの世界を破壊しようとしている俺は魔王と何ら変わりないから間違っちゃいないか。
 いいだろう。やってやろう。この世界を終わらせ、新しい世界にするのだ。
 こんな自己なんてない世界、金がものをいう世界を壊すのだ。















 
 起きるとそこはいつもの部屋。見回しても変化は何らない。神の力、とかいっていたな。夢オチでなければいいのだが…。
 早速なにか試してみるか。外の様子は…っと。雲のせいか、太陽が見えねぇな。
 ちなみに時計はさっき見たら午前八時ちょいすぎだったから、雲が無ければ気持ちよかっただろうに。
 さて、晴れにしてみるか。日本の太陽の神といえば『天照大神』だな。
 どうすれば使えるのかな。



 体が震える。なにか湧いてくるようだ。形容しがたい何かが、身に染みていく。
 刹那。イメージが湧く。
 瞬間。体のコントロールを失う。
 体が思うとおりに動かない。
 意識しなくとも、口から言葉が零れ落ちる。
『我を憑代に、応えよ。光華、天照大神。』
 雲が退き満点の青空と―影をもなくすような、天を照らす球が空にあらわれる。
 
 晴れていく。
身体からチカラが抜けていくのが分かるようだ。


なにかとても疲れた気がする。言葉で言えないのだけれど、精神力みたいな?MPが減っていくみたいな感じがする。
身体は何ともないのだよ。
只々精神がね…。

つまりこのチカラは…無敵で負け知らずということだな。多分。
精神力が鍛えられればの話だが。
 そう考えると、このチカラは畏怖、恐怖、恐懼、憂慮、怖じ恐れられるもので、俺はその対象となったわけだ
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