第十六話「その憧れは、歪みとなる」後編
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い!!」
ワイヤーブレードの鋭い刃が俺の背後へ迫るが、そんなものは肉眼では捉えきれないスピードを出す俺には追い付けやしない。そして、AICの領域ギリギリのところを幾度も走り続けた。幾ら精神的訓練を積み重ねた軍人の彼女とはいえ、自分の周辺をギリギリに刀を振り回しながら走り回る目標を捉えるには、少々精神を使う。そもそも、先ほどからAICを使用しているのか、徐々に疲れを感じているように見える。こうしている間にラウラは徐々に神経が鈍り始める。だが、それと同時に俺も息を荒げ続ける。
そして、ラウラの方にほんのわずかな隙が生じる。俺はそれを目に再び真正面から突っ込む。
「……!?」
……と、見せかけて俺は、AICの領域スレスレのところで地面を蹴り、ラウラの頭上を飛び越した。
「なに!?」
「その技は、背後からだと丸腰だ!」
レールカノンの砲身を切り落とし、さらに背を斬り込んだ。さらに零で我武者羅に斬りかかる。
「調子に……乗るなぁ!!」
ラウラは振り返ると、再び反撃のためAICを発動させようとするが、それと同時に俺は両手に握る二刀の零を力いっぱい交差に振り下ろした。その時だった。振り下ろした先から、巨大なエネルギー状の刃が放出し、それがバツの字に交差してラウラのAICの電磁波を貫くと、それは彼女に命中する。
「うあぁー!!」
その攻撃に耐えきれずに彼女は弾き飛ばされる。
――今の攻撃はいったい!?
我武者羅に繰り出した謎の技、しかしそのおかげで俺はラウラにカウンター攻撃を与えることができた。
「や、やったのか……!?」
当然、ラウラのシールドエネルギーは0を切った。俺の完全勝利だ!
トーナメント戦は、あくまでチーム戦を主力としているため、ペアのうちどちらかが倒れたら試合はそこで終了となる。ちなみに、一夏は俺がこうして勝つまでの間、どうにか箒と対戦を維持し続けてくれたようだ。一方の箒は平然としている一夏とは違って、汗だくになってヘトヘトの様子である。
「……っせぬ!」
しかし、ラウラは立ち上がりながら鬼のように俺をにらみつけた。
「……解せぬ……解せぬ! こんな敗北、私は認めないぞ!?」
そして、彼女は自らが纏うシュヴァルツェア・レーゲンへこう命じだす。
「私にもっと力を……奴らをも凌駕する力を寄こせぇ!!」
そのとき、シュヴァルツェア・レーゲンに突如異変が起きた。それは、まるでスライムか粘土のように機体が変異して操縦者であるラウラを飲み込み始めたではないか? この事態にラウラは予測しておらず、悲鳴を上げながら無惨にも自らの専用機に取りこまれてしまった……
「な、なんだ……!?」
その不気味な光景に、俺は背筋を震わせた。そして今、目の前に見えるラウラの機体はISの原型も留めない巨大で黒い鎧を纏う騎士の姿へと変わってしまった
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