第十六話「その憧れは、歪みとなる」後編
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戦でリベンジが出来る。
「狼さん、俺が箒を引き付けますから任せてください!」
「ああ、期待してるよ?」
そして、トーナメント戦が行われた。初戦の相手、ラウラー・ボーデヴィッヒと篠ノ之箒だ。
「フン、よくも逃げずに出てこれたな?」
そう、見下すかのように俺を宥めた。しかし、俺はあえて黙った。
「ラウラ! お前……傷つけるなら俺だけしろ!?」
一夏は、無関係の俺をボコボコにしたラウラに怒りを覚える。
「織斑一夏、お前の相手は後にしてやろう? まずは、そこの無能者を始末してからだ!」
「……!」
しかし、俺は無能者と言われ様とも、耐えた。挑発に乗れば相手の思うつぼだからだ。
そして、アリーナにゴングが鳴り響いた。
「狼君、頑張って……!」
アリーナの入り口から弥生が彼の戦いを見守った。
「その姿だと、地上戦が得意と見える。なら、あえて地上で相手になってやろう!」
ラウラは、あえて上空へ浮上せずに地上へ立ち、戦闘態勢へ移った。そっちがその気ならこちらも戦いやすい!
「……!」
先に攻撃を仕掛けたのはラウラだった。しかし、俺はその前にアリーナ一帯を数百キロという速度で走りだした。
――地上をあんなスピードで!?
武器を持つ以外丸腰のRSだが、思わぬ機動力を発揮していることにラウラは一瞬驚くも、それはほんの瞬間だけだ。彼女はすぐに冷静になり、攻撃を加える。
「一夏! お前の相手は私だぁ!!」
一方、箒は俺を相手にせずにそのままペアの一夏へ襲い掛かる。
「ああ! こっちもそのつもりだ! 狼さんの戦いが終わるまで、お前の相手をしてやるぜ!!」
一夏は、箒が一瞬でも俺の元へ目を付けないよう全力で箒と対戦した。
「ちょこまかと……」
ラウラは、ペアの箒が地上で一夏と戦っているのにも構わず、レールカノンを乱射しだした。
「くぅ……ペアのことはお構いなしかよ!?」
俺は、ラウラの放つレールカノンを巻き散らす中を、高速で駆け回りながら頃合いを見て地面を強く蹴りあげ、ラウラの方へ突っ込んだ。両手に握る零がラウラへ斬りかかる。
「甘い!」
しかし、ラウラは手の甲より展開したビーム状の刃で俺の攻撃を受け止めた。そして、俺の脇腹へ蹴りを打ち込む。
「うぐぅ……!」
――さすがに、一筋縄じゃいかないか……
俺は再び走りだし、地上走り回った。
「俺を倒したいならこのスピードに追い付いたらどうだ!」
「フン、地べたを這いずり回ることしかできないのか?」
再び、レールカノンが乱射される。
――もう一度……!
俺は、弾幕のごとくレールカノンの攻撃を避けながら、再び地面を蹴り上げてラウラへ迫る。
その刹那……
「……!?」
突然、俺の体に異変が起きた。体の自由が利かない。まるで、ピタッと時間が止まったかのように。
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