第十六話「その憧れは、歪みとなる」後編
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そのたびに零を振るう。RSの装着者の走行距離は時速数百キロにもなる。ちなみに空中での飛行速度はマッハレベル。しかし、RSはどちらかというと地上戦に強い。それなら地上を応用した攻撃へ連れ込むしかない。
俺は、日が昇るまで一人稽古を続けた。
気が付けばもう明るくなり、残った時間で俺は広場のベンチに寝そべっていた。この時期、朝はそんなに寒くはなく程よい気温だから風邪をひくことはない。
*
トーナメント戦当日アリーナにて、
「狼! お前、トーナメントに出るって本気かよ!?」
太智がたまげた。しかし、俺は本気だった。
「本気だ。もう決めたことだから……」
「狼君! 罠かもしれないよ!?」
清二がそう言う。皆して、俺がトーナメント戦に参加するのを止めに入ってくる。
「狼さん! 魁人さんを信じるしかないですよ!?」
一夏が言う。全員彼の意見に賛成していた。
「狼……俺が、何としてもラウラを取っちめて弥生を助ける。筆頭の名にかけて。だから……ここはどうにか耐えてくれないか?」
ヴォルフまでも言うと、俺はさすがに抵抗できなくなる。
「すまん……だが、俺はどうしてもラウラに勝たなくちゃいけないんだ! 勝手なことを言っているのはわかってるど、どうしてもこの意思は曲げたくないんだ」
誰のためではなく、自分の意思のために、そしてその意思は大切だと思う「誰か」のために……
「皆さん……」
俺たちの前に弥生が割ってくる。
「弥生、お前は寮で待機してなくちゃダメだろ?」
太智が注意する。弥生は、首輪が原因で騒ぎに繋がったら厄介だからと彼女だけは寮の部屋へ待機するよう魁人から支持を受けた。しかし、それをあえて構わずにここへ来たというのは……
「私、狼君を信じたいんです! 絶対に彼が勝つって……」
「「……」」
珍しく、弥生がそのようなことを強気で言うのは初めてだったらしく、太智と清二は珍しいと表情を浮かべた。
「私も勝手なことを言っているのはわかっています! けど、どうしても狼さんの戦いを最後までみたいんです……」
「……わかった。そこまで言うなら、俺は止めない。皆もそうだろ?」
ヴォルフが後ろへ振り向くと、諦めたかのように太智たちが笑んで頷いた。
「ありがとうございます!」
「ありがとう、皆!」
俺も、弥生の隣で礼を言った。するとヴォルフが首を横に振ってこう言う。
「いいんだ。君は、恐怖に打ち勝つためにこの戦いを挑むなら、俺はあえて勧めよう。狼、君は本当に侍であり騎士だ。弥生嬢の前で思う存分その戦いぶりを披露して来い? 負けてもいい、ただ最後まで諦めずに戦い抜くんだぞ?」
「はい……!」
ヴォルフに応援され。俺は胸を張ってトーナメント戦へ参加した。
初戦は……運悪く、いや……早々に運がいい。ラウラと箒のペアである。早くも初
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