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RSリベリオン・セイヴァ―
第十六話「その憧れは、歪みとなる」後編
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これも、戦いの中で次々と性能を呼び覚ましていく。お前の意思に答えるかのように。そして今回、お前の絶対神速は突然使えなくなった。これは今までの逆だな? 使えていたものが使えなくなった」
「蒼真さん……どういう意味です?」
「つまりだな……零には『意思』が、あるんじゃねぇのか?」
「意思?」
「そうだ。感情を持ったRS、おそらく自分に相応しい装着者なのかを見極めるかのように……おそらく、通常の戦闘へ持ち込まず絶対神速に頼ろうとしたお前を試したのかもしれない。そして、やられた。これは、俺独自の解釈だから信じなくても良い……」
「零が、意思を……」
確かに、今まで起こった出来事を考えてみれば、俺が恐怖を踏み消し、ISへ突っ込んだり、セシリアとの戦いで最後まで諦めなかったり、様々なピンチに対して、諦めることをしなかった末に、零が俺の意に答えてくれた。どれもこれも、絶対絶命の状況で最後まで諦めなかった時に、零が必ず力を貸してくれた。では、今回の件も何となく辻褄が合う。そして、蒼真の言う通り俺を真の主人かを見極めるかのように試している風に見えた。
「話は変わるが、狼? 何があったかは知らねぇが……弥生が、ピンチなんだってな?」
向かい合わせのベッドに座って、蒼真が尋ねた。
「……」
「魁人が言うには、時限爆弾の首輪はそう簡単に外せそうにないらしい。まぁ、アイツのことだからどうにかしてくれるとは思うが……」
と、蒼真は立ち上がると夕暮れの窓を背に俺へこう言う。
「お前さん……どうしたい? 別に俺はどうこういうつもりはないさ? お前の答えを聞きたいんだ。このままボーっとしてても仕方がないだろ?」
「……蒼真さん」
「お?」
俺はゆっくりと口を開けた。そして、蒼真だけには俺の思う本当の想いを伝えた。
「俺……怖くなったんです」
「……」
ただ、蒼真は真剣に俺の話を聞いた。
「ラウラとの戦いで、凄い恐怖と痛みを感じて……もう、あんな怖い思いをするのは嫌だって、そう思って……」
死の直前まで追い詰められた恐怖と痛み。それは俺にとって相当なトラウマとなって植え付けられている。明日のトーナメント戦が近づくにつれて絶望が増してくる。
「狼……」
すると、蒼真は再び真顔で俺にこう話した。
「……男ってもんはさ? 負けると知っていても、死ぬと知っていても、誰かのために戦わなくちゃならねぇ時が来るもんだ。お前にも、そういう覚悟が訪れたんだよ?」
そんな、ありきたでベタな話なんて……そう思った。けど、次に彼が話す話に俺はふと顔を上げる。
「ただし……その覚悟ってもんは、さっきも言ったように『誰か』のために戦うことだ。その誰かが、お前にとって本当に大切で、守りたいって、大好きだって思える本気の相手じゃなかったら覚悟を決める意味はない」
「……?」
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