第十六話「その憧れは、歪みとなる」後編
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を強く握りしめ、苦虫を噛みしめた顔で下を見つめるばかり。そんな彼女を哀れむような目でヴォルフは見つめた。
「……師と弟子の関係には必ず別れというものがつく、それを受け入れるか否かで戦士としての成長が左右される」
それを言うと、ヴォルフは彼女に背負向けて医務室を出て行こうとしたが、それを引き留めるかのようにラウラは苦しみながら口を開ける。
「私は……私は……教官のように強くなりたかった。ただ、あの人の背中を追いかけて今日まで頑張ってきたのに……!」
その言葉に、ヴォルフは静かに立ち止まると、彼女へ振り向きはしないもこう言い残した。
「純粋にそれだけを思うなら。それに向かって歩んでいけばいい。その途中途中で幾人もの強者に行き合い、敗れるのは当然のことだ。そして、敗れた敗因の中にはきっと己に欠けている何かが見つかるはずだ。それを見出して己を磨いていく。戦士という者はそうやって徐々に強くなっていくものだ。お前は今、それに直面している。今まで己の続けてきた行為を振り返り、そして反省をすることだ……」
「……」
そして、ヴォルフは今度こそ医務室から出て行った。ラウラの元に残ったものは複雑な心境と、戦士として何をすべきかの課題であった。
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