第十六話「その憧れは、歪みとなる」後編
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くなり、ラウラを殺す気にもなれなかった。
その後、ヴォルフは医務室から出てきた千冬と会い、そして彼女にこう尋ねた。
「織斑先生? 弥生に取り付けられた首輪……あれは、あなたがラウラに渡した物なのですか?」
「……何のことだ?」
「天弓侍弥生に取り付けられた小型時限爆弾は……あなたのご友人が作った物なのではないのですか?」
「何のことだか、私には……」
「しかし、ラウラを拷問せずとも爆弾の首輪は自然に解除された。それは、あなたが狼を、いや我々のISがどれほどの性能なのかを試したのですよね?」
「……」
千冬は何も答えはせずに去って行った。しかし、ヴォルフからして大抵のことは予想できる。そして、次に彼は医務室へ入り、ベッドで寝るラウラと会った。
「お前は……!?」
身構える顔をする彼女だが、ヴォルフからはもう殺意などは感じられなかった。
「案ずるな……もう狙おうとはせん」
「何の用だ……!」
「一つ、聞かせてくれ? どうして、そこまで一夏を憎む?」
ヴォルフの問いに、ラウラはしばらく間を置いた後でしぶしぶと話した。
彼女は、もとは生体兵器として軍事施設で作られた試験官ベビーであり兵器としてはずば抜けた戦闘能力を有する兵士として優秀な成績を収めてきたが、しかしISでの適正は不適合となり、ISに関する成績は基準値を大きく下回り、このことから「出来損ない」と見放され自分の存在意義を見失いつつあった。しかし、後にISの教官として転属してきた織斑千冬との出会いによっり、彼女との特訓を得て徐々にISの適正能力を上げていき、再び部隊最強の名を取り戻したというのだ。
だが、彼女は千冬を恩師として敬愛しているのは十分にわかったが、何故織斑一夏を恨む必要があるのかだ……
「では、何故織斑一夏をそうも敵視する?」
ヴォルフは腕を組みながら彼女に問う。
「……教官は、あのまま行けば、優勝は間違いなかった。しかし、教官の愚弟が……あの無能な愚弟が連れ去られたばかりに、教官は優勝を逃したのだ!!」
感情的になる彼女を目に、ヴォルフはこう言い返した。
「……しかし、一夏が誘拐されなかったら貴様は千冬に会えなかったという考えもある」
「なに……?」
「織斑一夏の捜索に協力したのはドイツだ。織斑千冬にISの教官をしてもらうことを条件で協力した。そして、貴様たちの基地に織斑千冬が教官として着任したのだぞ? お前が本当に千冬のことを恩師として敬愛しているのなら、弟である織斑一夏を敵視するのは理不尽と思えるが?」
「だ、黙れ! 周囲がどう思おうが、あの者は教官の名誉を……」
「だが、その名誉が汚されなかったら、教官はお前の元へ現れはしなかったし、今のお前もここには存在しなかったということだ……それでも、いいのか?」
「ッ……!!」
と、ラウラは布団
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