第十六話「その憧れは、歪みとなる」後編
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する。
「わかってるよ? 弥生のことは、俺が……」
その瞬間、俺の姿は風のようにフッと消えて、気づいたころには黒い騎士の真後ろで零を構えていた。そして、黒い騎士は懐に負った深い傷跡が広がって、中からラウラが出てきてそのまま地面に転がり落ちた。
「……」
俺は、そのまま倒れたラウラの元へ歩み寄った。
「……!」
目を覚まし、起き上がろうとするラウラの元へ零の片方が振り下ろされる。
……が、零はラウラの頬の寸前でピタリと止まった。そして、彼女を見下ろして俺はこう言い残した。
「チェックメイトだ……」
「……!?」
ただ、それだけをはっきりと言い残し、俺は零を納刀してそのまま振り向かないまま、弥生の待つ出口へ向かう。
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「な、なにがあったの!?」
「これはいったい……!?」
俺がいなくなり、後から来た教員たちは、目の前で大破したシュヴァルツェア・レーゲンの亡骸と、その操縦者のラウラを見た。まさか、これを生徒が倒したというのはとてもじゃないが信じ切れなかった。
「狼君……!」
涙ぐむ弥生に、俺は優しく微笑んだ。
「勝てたよ……そして、信じてくれてありがとう」
「狼……!」
弥生は、涙とともに俺の胸へ飛び込んできた。
「や、弥生ちゃん!?」
俺は、一瞬驚いた顔をするが時期に弥生の様子を見ると、徐々に落ち着きを取り戻した。そして、彼女の首元でカチッという音とともに首輪が弥生からこぼれ落ちた。首輪は、その後何の反応も示さなかった。
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その後、ラウラは医務室へ運ばれた。ヴォルフは誰もいないことを確認したうえでベッドに眠るラウラを暗殺しようとした。本来なら彼女と戦って戦死させたいのだが、今の彼にはラウラに対して戦士としての情、「武士の情」など一切持ち合わせていなかった。
「……?」
しかし、ここで運の悪いことに、本部からの連絡がきた。
「こちらヴォルフ……」
『ヴォルフ、俺だ……』
それは、本部の若い士官の声だった。
「どうした?」
『すまんが急遽変更になった。ラウラ・ボーデヴィッヒの抹殺は保留になったんだ』
「なに……!?」
「突然の報告で申し訳ない……お前はしばらくIS学園に留まってラウラの監視でも続けてくれ? ま、そんな必要もないと思うが』
「納得がいかん! なぜ、奴を!?」
『俺も詳しい事はわからんが……何やら、黒兎など放っておいてもイレギュラーにはならないんだと? 時期に存在自体がなくなるそうだ?』
「存在が? それはどういうことだ?」
『さぁな……だが、詳しいことはまだ……とりあえず、お前はしばらくIS学園で健やかな学園生活でも送っていろ?』
そう言って、通信は切れた。そんないい加減な通信を聞いた後に、自分のしていることがバカバカし
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