6部分:第六章
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第六章
「ノラだね。確かに」
「ノラ猫なの」
それを聴いてふと表情を変えたのは玲子だった。
「じゃあ私が引き取っていい?」
「あんたが?」
「うん」
こくりと頷いて朝香に答える。
「うちの家族皆猫好きなのよ。何匹いても困らないって位に」
「妖怪なのにいいのかよ」
賢治が今の玲子のその言葉を聞いて笑いながら言ってきた。相変わらずビーフジャーキーをやり続けている。猫はそれを美味しそうに食べている。
「それでも」
「ええ、いいわよ」
玲子はくすりと笑って賢治に言葉を返した。
「喜んでね」
「じゃあ妖怪は玲子に無事退治されたと」
「それで終わりだね」
朝香と勝也が楽しそうに言う。
「それじゃあさ。話は終わったし」
「ええ」
玲子は今度は伸介の言葉に頷いた。
「帰りましょう」
「そうだな。丁度ビーフジャーキーも食い終わったしな」
ペロペロと前足を楽しそうに舐めていた。それを見れば猫が機嫌がいいのがわかる。猫でも何でも美味しいものを食べれば機嫌がいいのが当然だった。
「ほらよ」
「有り難う」
玲子は賢治から猫を受け取った。その猫を優しく抱き締める。
「じゃあ猫は私がね」
「ああ、頼むぜ」
「それにしてもね」
朝香は嬉しそうな顔で猫を抱く玲子を見て苦笑いを浮かべるのだった。
「また随分と態度が違うじゃない」
「だってね」
玲子はその如何にも嬉しそうな声で言葉を返す。
「猫だし。やっぱり」
「やれやれ。まあいいか」
「話は無事終わったしな」
賢治が立ち上がって言う。立ち上がると一旦腰を伸ばした。そうした動作が少し高校生のものには見えなかったが彼には似合っていた。
「帰るか」
「うん」
「それじゃあ」
伸介と勝也がそれに頷く。こうして全てが決まった。
五人はまた校門を越えて学校を出た。玲子はずっと猫を抱いたままであった。
真夜中の道を五人と一匹で歩く。玲子はその中で四人に言うのだ。
「妖怪はいなかったわね」
「何か今更って言葉ね」
彼女の横にいる朝香が答えた。
「その言葉も」
「そうだけれどね。やっぱり」
それでも玲子は言うのだった。
「いるんじゃないかってビクビクしていたから」
「少なくとも学校にはいなかったってことだ」
賢治が言う。彼の言葉は短いがその通りだった。
「そうなるよな。猫がいただけで」
「ええ」
玲子は彼の言葉に応えて頷く。
「そうね。幸いなことに」
「けれどさ」
しかし伸介が言うのだった。
「ひょっとしたら他の場所で噂になっているのは」
「ちょっとそれって」
「わからないよ」
勝也も言う。
「そこのところは。どうなのか」
「そうね。ひょっとしたら」
朝香が意地悪そうな笑いになってい
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