第三章
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「金剛力士に相応しい方です」
「まことにですね」
「あのお身体はです」
「お侍としての日々が作ったものですね」
「そうですな、武の鍛錬に食事も」
「そうした日々だからこそ」
「ああしてですね」
見事な身体になったというのだ、仁王になるのに相応しいまでの。
「お強いでしょう」
「はい、間違いなく」
その仁王像を観ての言葉だ、左右に阿吽の顔で立っているそれは人目観ただけで魔を追い払うものがあった。
その金剛力士像をだ、二十一世紀になり。
東大寺に修学旅行で来た高校生達が観てだ、こんなことを言っていた。
「凄い強そうだな」
「ああ、無茶苦茶凄い身体しててな」
「顔も怖いけれどな」
「体格が違うな」
「ヘラクレスより凄くないか?」
ギリシア神話の英雄だ、頑健な肉体を持っているのならこの英雄とさえ言われている。
「そりゃ魔も追い払うな」
「どんな悪いものもな」
「攻めてきても叩きのめす」
「これは強いな」
「この金剛力士はな」
中年の男の先生がだ、学生達に話した。
「鎌倉時代の作品でモデルがいたんだよ」
「あれっ、モデルいたんですか」
「この金剛力士に」
「そうなんですか」
「そうだよ、鎌倉武士がモデルだったんだよ」
このことをだ、先生は話した。
「運慶の作品だけれどその運慶がね」
「鎌倉武士を観てですか」
「モデルにしてですか」
「そうして作ったんですか」
「そうしたものなんですね」
「そうなんだよ、つまり当時の鎌倉武士はね」
その彼等はというと。
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