2部分:第二章
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第二章
「あんた食べられたいの!?冗談じゃないわよ」
「いや、まあ怖いもの見たさ」
朝香は少し笑って述べた。
「どうかな、それ」
「馬鹿じゃないの、本当に」
殆ど本気で怪物の存在を信じている玲子にとってはまさにそんな話であった。口を尖らせたまままた朝香に対して言うのであった。
「わざわざ死にに行くようなものじゃない」
「そこまで言う?」
賢治は玲子の話を聞いて言う。
「言い過ぎじゃないかな」
「とにかく私は嫌よ」
きっぱりと言い切ってきた。
「食べられるのなんて」
「食べられる食べられないって何なんだよ」
それを聞いてまた一人やって来た。茶髪で無精髭を少し生やした大柄な男だった。田中伸介である。クラスでは派手好きな遊び人で知られている。
「お菓子か何かの話かよ」
「それが違うんだ」
賢治が彼に応えた。
「違うって?」
「ほら、あの化け物」
これだけで話が通じる。思えばそれだけ皆が話しているということである。
「出たじゃない、学校の校庭に」
「ああ、そうらしいな」
それは伸介も聞いていた。それで話に頷くことができたのだ。
「で、それがどうしたんだ?」
「何か新条さんがさ。見に行きたいらしいんだ」
「へえ」
伸介はそれを聞いて声をあげた。そこには特に感情は見られない。
「そうなんだ」
「冗談じゃないわよね」
玲子は同意を求めるようにして伸介に顔を向けた。表情からもそれがわかる。
「食べられに行くなんて」
「それは少し早合点じゃねえのか?」
だが伸介は玲子のその言葉に同意せずにこう言うのだった。
「早合点って?」
「いきなり食べられるっていうことがだよ」
玲子に対して言った。
「そうそう有り得ないだよ、幾ら相手がバイク並のスピードで走ってもな」
「けれどこの前捕まった隣町の中学生がバラバラにされて食べられたじゃない」
こうした都市伝説にはつきものの話だ。誰彼が食べられただのそうした話が出て来るのだ。ことの真意は不明なのは常である。
「そんなのに会いに行くなんて」
「だったらあいつ連れて行けよ」
玲子のそんな言葉を聞いて伸介は側にいる男のクラスメイトを一人指し示してきた。
「あいつって?」
「鈴木だよ」
一見目立たない地味な生徒を指し示したのだ。彼の名を鈴木勝也という。
「あいつなら問題ないだろ」
「まあね」
玲子もその言葉に頷けた。何故なら彼の家は化粧品店だからである。そこに大きな秘密があるのである。
実はその妖怪は香水の匂いが苦手なのだ。噂によると香水をジュースと間違えて飲んだことがあるかららしい。妖怪の好物はジュースなのだ。
「どうだい、あいつ連れて行ってさ」
「そうね。ねえスズ」
朝香がその勝也に声をかけた。勝也
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