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神への蔑視
第四章

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 その様子を魔界において見てだ、ベリアルは本来の赤い天使の姿に戻ったうえで己の座から家臣達に言った。
「どうだ」
「はい、人間達はです」
「信仰よりもです」
「快楽に溺れています」
「美酒に美食にです」
「歌や踊り、文学にもです」
「芸術も生まれています」
 そうした快楽から、というのだ。
「絵画や彫刻、建築にとです」
「様々な美しいものも造りだしています」
「kれまでは教えだけでしたが」
「教えに基づくものだけでしたが」 
 そうした芸術もというのだ。
「神への信仰とは離れたです」
「そうしたものも生み出す様になり」
「皆賑やかになっています」
「これまでとは一変して」
「私の狙い通りだ」
 ベリアルは家臣達の報告を聞いてにやりと笑った、そのうえでの言葉だった。
「神の教えではだ」
「ただ我慢するだけで」
「そこからは、ですね」
「何も生み出さない」
「そうなのですね」
「人に快楽を教えてやるとだ」
 神が否定しているそれをだ。
「そこから多くのものが生まれるのだ」
「様々なものがですね」
「それこそ」
「考えてもみるのだ」
 ここでベリアルは自身の右手にあるものを出した、それは透き通った紅の珊瑚の杯の中にある見事な赤ワインだった。
 その赤ワインを見つつだ、彼は言うのだった。
「このワインにしてもただ飲むだけでいいか」
「まさか」
「美味くなければです」
「飲んだ気がしません」
「まずいワインなぞ水にも劣ります」
 家臣達はベリアルに口々に答えた。
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