第九章
[8]前話
「新聞記者でも学者でもな」
「学校の先生でも?」
「そうなん?」
「先生も嘘言うん」
「そうなん」
「その仕事だけで嘘言わんと思わんことや」
絶対にというのだ。
「その人を見るんや」
「その人が嘘吐くん」
「そうなん」
「そうや、人は仕事で決まるんやないで」
嘘を言わないかどうかはというのだ。
「そうしたものなんや」
「そうなんやな」
「人は嘘言うもので」
「どんな仕事のひとも嘘言う」
「仕事で決まるんやないねんな」
「そうや、中には悪い奴の手先になって嘘を言う奴もおる」
このこともだ、一樹は孫達に話した。
「学校の先生でも新聞記者でもな」
「ううん、じゃあ学校の先生の言うことも」
「注意せなあかんねんな」
「そういうこっちゃ、人を見て考えて自分で決めるんや」
一樹は真剣そのものの顔で孫達に自分がわかったことを話した。孫達が嘘を言い悪辣な者の手先になっている輩共に騙されない為にも。彼は定年前に言ったのだった。その時までに得たその大切なことを教えたのである。
手先 完
2015・7・18
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