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大海原でつかまえて
09.僕はキレた
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に、いとも簡単に投げ捨てた。僕は投げられた勢いでてれたびーずの船上を転がり、反対側のへりにぶつかる。そのへりのすぐそばでは、海面に立つキソーさんがいた。キソーさんは僕の襟を掴んで立たせてくれ、僕の顔を姉ちゃんと深海棲艦がいる方向に向けた。そしてそのまま僕の肩に手を回し、右の耳元に自身の顔を近付け、僕とともに敵を睨みつけて、耳元で呟いた。

「……なぁシュウ。お前がどれだけ比叡さん……姉ちゃんを大切に思ってるか分かった。でもどう見ても、今のは無謀だ。お前だけじゃ、あの敵陣から姉ちゃんを助け出すことは出来ない」
「……」
「でもお前にはムリでも、俺達なら出来ることもある。お前の気持ちは、俺が魚雷に乗せてあいつらにぶつけてやる。お前の代わりに、俺達があいつらにぶちかましてやる」

 金剛さんに平手打ちをされ、海面に落ち、船上に投げ捨てられたことで、僕の頭はだいぶ冷静さを取り戻していた。今なら、さっきの自分がどれだけ無謀なことをやろうとしていたのか理解出来る。確かにぼくは泳いで姉ちゃんの元まで行こうとしたが、それが所詮無理なことは、今の僕なら理解できた。

 僕は自分の足元を見た。足元では二人の妖精さんが心配そうに僕を見つめている。

「……わかった。キソーさん、頼む」
「任せろ。最高の勝利を約束してやる」

 キソーさんは僕の襟から手を離し、再びてれたびーずの前方に戻った。僕は、未だこちらから視線をはずさない金剛さんの元に行き、金剛さんに頭を下げた。

「金剛さんごめん。姉ちゃんのことで取り乱してた」
「……落ち着いたデスか?」
「うん」
「ワタシ、けっこう思いっきり引っ叩いたデスケド、怪我は無かったデスカ?」
「うん大丈夫。ちょっと痛いけど、目が覚めた」

 さっきまでの険しい表情から、金剛さんが笑顔に変わった。妖精さんが僕の肩口によじのぼり、ぼくのほっぺたをさすっている。

「おーけい。さすが比叡の弟。……じゃあワタシは、カワイイ妹と弟のために、ワンスキン脱ぎマス!」

 金剛さんはそういい、てれたびーずから離れて球磨とともに砲撃を開始した。二人の砲撃は何度もレ級やヲ級に直撃するが、どうもバリアのようなものが周囲に張られているらしく、中々ダメージを与えることが出来ないようだ。

 ヲ級が艦載機を飛ばし、レ級が周囲に爆雷をばらまく。てれたびーずからやや離れたところで巨大な水柱が立ち、無線機からゴーヤの悲鳴が聞こえた。

『キャアアッ……?!』
「ゴーヤ?! 大丈夫?!」
『まだ大丈夫……でも、けっこうダメージデカいでち……』
「一回浮上しろ! てれたびーずで回収する!」
『わ……わかったでち……』

 上空ではヲ級の艦載機と加賀さんの艦載機が激しい航空戦を繰り広げていたが、その隙を縫って、加賀
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