第170話 襄陽城攻め3
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いという顔で正宗の顔を凝視していた。正宗は笑みを浮かべ孫堅を見ていた。
「清河王! お願いいたします。貴方様の奇跡の力で文台様の傷を治してください」
甘寧は孫堅を抱えたまま必死な顔で正宗に懇願した。正宗は甘寧の話を聞くと視線を青白い顔の孫堅を見た。孫堅の表情は血の気がなく今にも死にそうな様子だった。
「奇跡の力とは何のことだ?」
正宗は軽く甘寧の願いを聞き流した。
「張允様の傷を治された力です」
甘寧の言葉に正宗は平静な様子を装った。
「お願いいたします!」
甘寧が正宗に縋るように近づき必死に懇願する。
「そのような目で私を見るな。孫文台、生きたいか?」
正宗は孫堅の方を向いた。
「知れたこと。生きたいです」
孫堅は正宗に気を張った青白い顔で答えた。正宗は馬から降り、甘寧に歩み寄った。
「そこに孫文台をゆっくり寝かせろ」
甘寧は正宗の指示に従い孫堅を慎重に寝かせると一歩下がり、正宗に場所を譲った。正宗は横たわる孫堅の近づくと傷の様子を確認した。彼は渋い顔をした。
「面倒だな」
甘寧は心配そうに孫堅を見ていたが正宗の邪魔にならないように沈黙していた。
正宗は憮然とした顔で孫堅のことを見ると考える仕草をした。その様子は躊躇しているようだった。
「清河王、治療出来ないのでしょうか?」
甘寧が心配そうに正宗に声をかけた。
「大量に出血している上に矢が深く刺さっている。首と胸の矢を無理矢理に抜けば、その衝撃で死ぬかもしれん」
正宗は重々しい口調でゆっくりと喋った。彼の様子に甘寧は落胆した様子になるが正宗に土下座をした。
「何卒、文台様を助けてください」
「そうは言うがな。無理なものは無理だ」
正宗は頼み込む甘寧を見て孫堅に視線を移し思案気な表情を浮かべていた。すると何か思いついた表情に変わるが渋い表情に変わった。
正宗は力無く横たわる孫堅の顔を凝視した。見ただけで孫堅はかなり衰弱しているのが察することができた。治療が遅れると死ぬことは間違いない。
「孫文台、この私に何をされようと文句を言うことを許さんからな」
正宗は覚悟した表情で孫堅に忠告した。孫堅は正宗の言葉に目を薄らと開いた。意識がかなり朦朧としているのか虚ろな焦点の合わない瞳で正宗のことを見ていた。甘寧は正宗の発言の真意が分からないのか彼のことを静かに伺っていた。
「ふっ」
孫堅は青白い顔でほくそ笑んだ。
「しゃ騎しょうぐん。いのちを救ってくれる…かはっかはっ。相手に文句もないでしょ。私にはあなたが助けに来てくださっただけでもありがたいですよ」
孫堅は生気のない顔で正宗に精一杯の笑顔で答えた。その言葉を聞いた
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