第170話 襄陽城攻め3
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見える。
「ひけぇ〜! ひけぇ〜!」
上ずった声で叫ぶ蔡瑁軍の隊長らしき男が撤退の合図を出した。それを皮切りに蔡瑁軍は蜘蛛の子を散らすように逃げだした。
「逃がすか!」
孫堅は蔡瑁軍の隊長目掛けて自らの南海覇王を投げつけた。南海覇王は吸い込まれるように彼の首に突き立てられた。彼は口から血の泡を吐き呻きながら背中から倒れるが、蔡瑁軍の兵士達は彼の死を悼むことなく、恐慌状態に陥り倒れた彼を踏みつけながら逃げ出した。
「お前ら! あいつ等全員を皆殺しにしてしまえ!」
孫堅は蔡瑁軍が敗走する姿を見ながら彼等に追い討ちを掛けるために孫堅軍の兵士達に命令した。孫堅軍の兵士達は敵兵を蹴散らしたことで高揚しているのか、彼等は敵兵を殺さんと追う。孫堅もそれに続く。彼女は南海覇王についた血糊を死んだ敵兵の衣服で拭うと敵兵が逃げた先を睨み走りだした。
「あいつ等を皆殺しにして。車騎将軍への土産としようか」
孫堅は舌なめずりし逃げ惑う敵兵の後姿を嫣然とした笑みを浮かべみた。逃げ惑う蔡瑁軍の兵士達は孫堅軍の兵士達に抵抗する気力もないのか、あっけなく殺されていった。
孫堅が襄陽城の中央に十字路に辿り着くと事態が一変した。空から沢山の風切り音が聞こえたのだ。孫堅は表情を歪め歩みを止め空を見上げ構えた。
「矢が来る! 気をつけろ!」
孫堅は孫堅兵達に対し警告を出し剣を構えようとした瞬間、矢の雨が孫堅軍に降り注いだ。矢を受けた場所が悪く即死し倒れていく孫堅達が一人一人力無く倒れていった。孫堅自身も重傷を負うことはなかったが身体に矢を数本受け苦痛の表情を浮かべていた。
「糞っ!」
矢の飛んできた先から孫堅は矢の投射位置を割り出し、内城がある左方向を向いた。暗闇の中を何か動く姿が見えた。蔡瑁軍の援軍で間違いないだろう。兵数は分からないが内城から兵を繰り出してきたということは規模は大きいと思われる。
「撤退だ! 怪我をしている奴等を守りながら撤退する。仲間を見捨てるんじゃないよ!」
孫堅は苛立たし気に孫堅兵達に命令を出し撤退を開始した。だが、彼女達を蔡瑁軍が見逃すつもりは無いのか追撃をかけてきた。蔡瑁軍は追い打ちをかけるように矢を放ってきた。二射目の矢の一斉投射で次々に孫堅兵達が倒れていった。孫堅も南海覇王で矢を払うも矢傷が一つ二つと増え表情に疲れを覚えているようだった。
孫堅軍が東門の近くまで辿りついた時には当初いた三百の兵は半分にまで減っていた。孫堅の表情にも焦りが現れていた。彼女の背後からは三度目となる風切り音が聞こえた。孫堅兵も疲弊しているためか行動が鈍く、矢の雨を凌ぎきれず次々に死んでいく。
「東門まであと少しだ。気を張ってこの場を切り抜けるんだ!」
孫堅は疲れた表
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