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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第170話 襄陽城攻め3
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「はわわわ。正宗様、火急の用件と聞きまかり越しました」

 朱里が慌てた様子で正宗の陣所に現れた。彼女を拱手し目を伏せたまま陣所に足を踏み入れた。彼女は顔を上げると正宗の姿を見ていぶかしんでいた。正宗は戦支度を整え床几に腰を掛けていたからだ。

「そのお姿は?」

 朱里は状況を把握しようと正宗に質問した。

「少々面倒なことになってな。先ほど孫文台が襄陽城攻めに向かった」

 正宗は難しい表情で朱里に言った。彼は朱里に甘寧から報告を受けた内容と彼女と交わした内容を全て話した。朱里も眉根を寄せ難しい表情で何も語らず聞いていた。

「正宗様、孫文台が失態を犯した場合に太守から解官するお考えは致しかた無いことだと思います。それ以上に孫文台の独断専行は許しがたきものがあります」

 正宗は朱里の怒りを孕んだ言葉を黙って聞いていた。

「孫文台の件はひとまずおいてく。今後、如何するべきか相談するためにお前を呼んだのだ」
「孫文台が夜襲に失敗した場合に備え我らも準備すべきと思います」
「具体的には?」
「孫文台が東門を破るのに失敗した場合、蔡徳珪がどう出るか懸念しております。このままでは先の無い蔡徳珪は孫文台を蹴散らした勢いで我らに襲いかかってくる可能性があります」
「孫文台が撤退に失敗したらそうなる可能性はあるな。冀州軍の主力が蔡瑁軍の後塵を帰す可能性は低い。だが、この地にいる荊州豪族率いる義勇兵は浮き足だつやもしれん。それが不味い。義勇兵に足を引っ張られ我が軍に被害が及ぶことは絶対に避けなければならない」

 正宗は渋い顔で視線を落とした。

「どちらに転んだにせよ直ぐに動けるように準備を整えた方が良いでしょう。東側の城門を警戒するために星さんを主将とし騎兵一千を率い向かってもらいます。彼女の副将には愛紗さんを当てます。本陣は?菜さんにお願いしようと思います。如何でしょうか?」
「それでいい。本当に手間を掛けさせてくれる」

 正宗は眉間に皺を寄せ舌打ちした。

「これまでの孫文台の振る舞いは独断専行で荒々しすぎます。孫文台は失態を犯そうと豫州に配置するのが正しいと思います。今後、我らにとって豫州は最前線となります。彼の地であれば孫文台を配置するには良い場所だと思います。もし、何かあったとしても我々で対応できます」
「孫文台が失態を犯した場合に豫州に配置する名目はどうする? 功もないものに褒美をやることはできんぞ」

 正宗は朱里を凝視した。その瞳は彼自身考えがあるが朱里に確認の意味で聞いているようだった。

「功がないなら作ればよいかと」

 朱里は正宗に意味深な笑みを浮かべ答えた。

「恩を売るか」

 正宗は手を顎に当て考える仕草をした。

「孫文台に恩を売られることをおすす
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