3部分:第三章
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第三章
本人のいない場所でもいる場所でもだ。彼は言われていた。
「来たよ、振られた奴が」
「あいつ今度は誰に告白するんだろうな」
「女たらしだって?」
「軽蔑するわね」
「ええ、本当にね」
「不良だし馬鹿だし」
「もう最低」
男女共にだ。馬鹿にした笑みで見つつだ。口を歪めてひそひそと話す。時にはわざと聞こえるようにして言う。しかしだった。
博次はその彼の傍にずっといた。クラスは違うがだ。
それでもだ。彼の傍にい続けていた。
昼の弁当を食べる時も休み時も登下校もだ。常に一緒だった。そんな彼にもだ。
周囲はだ。嘲笑いつつこう言うのだった。
「ひょっとしてホモじゃねえのか?」
「だよな。あいつ男にも手を出したのかよ」
「本当にどうしようもない奴だよな」
「それに乗る方も乗る方だよ」
「そうよね」
「不良とデブのボーイズラブなんてどうなのよ」
「洒落になってないわよ」
こうした言葉にだ。慎吾は。
流石に怒りを抑えられず向かいそうになる。しかしだ。
博次はだ。その都度彼に対してだった。こう言うのだった。
「気にしたら駄目だよ」
「けれどよ。御前のことだってよ」
「僕のことはいいから」
こうだ。慎吾に対して言うのである。
「それはね」
「いいっていうのかよ」
「うん、いいよ」
また言う博次だった。
「だから。ここは」
「気にするなってのかよ」
「そうだよ。抑えて」
優しい声でだ。慎吾にまた言った。
「切れたら本当に負けだから」
「そうか」
こう言われてだ。それでだった。
慎吾は抑えるのだった。そうしていた。
そんな日々が続いていた。そんなある日のことだ。
慎吾はその日の最後の授業終わると博次のクラスに向かった。一緒に下校する為にだ。
夕陽が校内を赤く照らしはじめていた。その中でだ。
彼はそこに向かう。そうしてクラスの中に入ろうとすると。
ここでだ。声が聞こえてきた。その声は。
「ねえ田中君」
「何考えてるのよ」
「何であんな奴と一緒にいるのよ」
「池山となんか」
女の声だった。その声の連中は。
慎吾を振ったその当人とその友人連中だ。彼女達がだ。博次に対して言っていたのだ。
それを聞いてだ。慎吾は。
反射的にクラスの扉のところに身を隠してそのうえでクラスの中を覗き込んだ。扉に背をつけてそのうえでだ。覗き込んだのである。
見ればだ。博次に対して実際にだ。彼女達が口々に言っていた。
「あんたまで碌な目に逢わないわよ」
「そう、これは忠告よ」
「わかってるの?」
半ばだ。脅しながらの言葉だった。
自分の席で帰り支度をする彼を半円状に囲みだ。それでだった。
口々に言う。剣幕も凄く。
「あんな不良と一緒に
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