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再び一刀が目を覚まして起きあがる。気絶された際の痛みが残っているためか、何度か頭を撫でながら周囲を見渡していた。
『ごはん!』
お腹を空かせた子供たちの一致団結した言葉に、一刀は唖然として見るが、それで状況が変わるでもないと、自分自身に言い聞かせて立ち上がる。
一刀が立ち上がったことで、ごはんが出来ると子供たちは期待の眼差しを一刀に向けて、カルガモの子供のようにその後を着いていく。
台所に着いて、電化製品が一切無いことに一刀は肩を落としながら、今あるものをひとつひとつ確認する。そして、調理器具の位置を確認してから、次いでご飯を作るための材料を探し始めた。
食材の棚を見てみれば、きちんと種類ごとに分けてはあるが……
「野菜しかないなぁ」
そこには野菜しかなく、肉や卵など他の物は全く無かった。
『あっ!』
一刀の言葉に反応したのは、外から帰ってきた子供たちだ。
すっかり忘れていた自分達の狩りの成果を見てもらおうと、玄関先に置いてきた荷物を取りに戻る。
「父様! 持ってきたぞ! 飯は肉一杯にしてくれ!」
「私も!」
「やっぱ、肉食べへんと力で〜へんよね〜」
嬉しそうに鹿を持ってきた子供たちだが、それを見て困ったのは一刀だ。
祖父の教えで剣術以外にも、サバイバル技術を仕込まれてはいるが、鹿のような大物を捌いたことはない。子供たちが期待したような目線を向けるが、やったことも無いので、すぐにどうこうできるわけもなく、途方に暮れていると、子供たちが不満を言い出す。
「ととさま。腹減ったぞー」
「流石にでかすぎるだろ……」
一刀の不満に、一人の女の子が前に出る。
「よし! それなら任せろ!」
その体に不釣り合いである大きな剣を背負った女の子が、皆が止める間も無くその剣を一瞬にして振るう。
剣術を習っていた一刀の目には一振りにしか見えなかったが、横たわった鹿は幾つもの塊に分断されていた。
「いきなり抜かないでよね!」
「私たちに当たったらどうするつもりだ!」
「春華の考えなし!」
「お前たちに当たるわけがない!」
自信満々に言い返すが、分断された鹿の下をよく見てみれば、床も一緒に分断されていた。
それを春華に見せても、首を傾げるだけで全く理解できておらず、むしろ、自分の剣の腕を喜ぶ姿に他の子供たちからは不満の声が上がるばかりだ。
「これを調理か……」
一刀は鹿の脚に当たる部分を手に取り、よく眺めるが、これだけ大きいものの解体などしたことはない。
取り敢えず水場に持っていき置くと、それ以外の物で調理を始める。
「私も手伝います」
そう言って近付いてきたのは、他の子に比べて特に小さい子だ
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