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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第132話 異邦人
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架空の人物などではなく、現実の江戸時代に暮らしていた少年の名前。
 それで、その少年は別に関西圏に本拠地を置くプロ野球の某球団の大ファンの親によって、無理矢理名前を付けられた日本一不幸な少年……などと言う訳ではなく、神隠しに遭って、その異界から戻って来た後に神通力……今で言う超能力と言う物を得て居たと言う少年。
 この辺りは、まるで迷い家(まよいが)の物語の中の登場人物のようなのですが……。

「まぁ、ここまで話せば大体、察しは付くかな?」

 先ほどの和歌は、かぐや姫が月の世界に帰る直前の描写。
 今度は神隠しに遭い、仙境(異界)で術の修業をして戻って来た少年。

 ここに俺と長門有希と言う名前の少女の普段の姿と、そして昼の間に見せた、普段とは違う魔法の世界のふたりの姿。
 これだけの情報があって、ふたりのある程度の関係が想像出来ない訳はない。
 仙童寅吉と俺との大きな違いは、異世界に迷い込んだ俺の方が師匠で、有希、それにタバサも弟子。……と言うぐらいですか。

 おそらく、この世界に俺が呼ばれた理由は、この目の前の少女の所為。今となっては消えて仕舞った過去。今年の四月八日の入学式の日、一年六組の教室内で行われた自己紹介の際の発言。曰く、普通の人間に興味はない、から始まった台詞が原因でしょう。
 確かに普通はその程度の言葉が世界に影響を与える事はありません。
 しかし、ハルヒは王国能力者。自らが支配する王国内では神に等しい決定権を有する存在。
 おそらくこの言葉が影響して過去の改変し易い時点。一九九九年七月と言う、この世界の歴史上で一番微妙な時点をクトゥルフの邪神によって改竄されたのでしょう。

 そして、その揺り戻しとして異世界人であり、未来人であり、超能力者である俺が呼ばれた。ついでに、俺の本名を知る人間はこの世界には一人も居ません。
 つまり、この世界に取って俺は『名づけざられし者』でもある、と言う事。
 この元の流れに戻った今の世界で、ハルヒが最初に求めた友人候補の内、超能力者と宇宙人は長門有希とその他の人間で賄えますが、未来人と異世界人は無理。
 朝比奈みくるは既に未来人ではありません。彼女はこの時代に根を下ろした日本人としての過去を得て暮らしていますから。

 ハルヒがどうにも俺の事が気に成って仕方がない理由は、この辺りの理由が複雑に絡み合っているから。
 彼女自身が無意識の内に為した事。これが俺を最初にこの世界に呼び寄せた。直接的には今年のヴァレンタインデーに、彼女の通って居た中学校内で訳の分からない呪符を貼りまくった結果、始まったのが羅?星(らごうせい)事件であり、その事件を解決する為に呼び寄せられたのが俺の異世界同位体だったと言う事。

 クトゥルフの邪神が為した事。しかし、俺がハ
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