またも登場、奇天烈な話題
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によりなる木の葉の掠れのみ。
彼等の大きな戦前に良くあった―――何時も通りの穏やかな日常を、また少しばかり崩れるだろうと知っているからこそ、グラトニーは静かに静かにかみしめていた。
……ラースもそうなのかは、語らぬ為に分からない。
『そうだ相棒。ちょいとこれからについて聞いて欲しい事があっテヨ』
「……?」
唐突だった。
ラースの口から語られる “コレから” を耳にし、緩み切っていた表情金を粗方引き締めた。
そして覚える為にか目を閉じて、何度も反芻しているかのように軽く頷き続ける。
「グラトニーちゃーん!」
すると―――――唐突に、下から呼び声が掛る。
グラトニーが転がりながら移動して、屋根の端から顔だけ出して覗いてみると、そこには此方を見上げる未春の姿があった。
何やら布に包まれた四角い物を、両手に一つずつ持っている様子だが……。
「……何?」
「総ちゃん達ったらお弁当忘れちゃってね? トゥアールちゃんの分もあるから届けて欲しいのよ」
一聞、其処まで違和感のない普通のお願いに聞こえる―――もとい、本当に単なるお願いだ。
が、未春の表情には苦笑こそ張り付いている物の、そこはかとない不謹慎な何かも含まれていると感じる。
まるで……これから起きる事を想像して、鼓動の高まりを抑えきれずワクワクしているかのような。
いや、まるで……ではない、絶対にワクワクしている。
口角の上がり方も微笑ではなく、何かを中途半端に堪えて居るそれだ。
(『マ、そりゃあ相棒が学校なんかに行きゃあナァ』)
ある意味自画自賛であろうが、少なくともラースはグラトニーの容姿を可愛らしい、美少女一歩手前の美幼女だと認識している。
そして世間の反応を見るに、それが強ち間違っていたり、大きく捻くれているという訳でもない。
更に、総二達は愚か他の生徒とさえ、昨日までまるで面識がないのだ。
“瀧馬”としてなら何人かいるだろう。しかし今の姿は“グラトニー”。
姿は勿論、性別、喋り方、正確、放つ空気、何から何までまるで別人である。
さて、ここで問題。
Q.そんな彼女が弁当の包みを手に学校へ行き、総二達に届けたら一体どうなるでしょうか?
A.騒ぎになる
……答えは当然一つ、コレ以外に考えられない―――確定だろう。
『別に部室のワープゾーンと地下室が繋がってんだかラヨ、何なら一旦帰って来るまで待ってたらどウダ?』
流石にプチだろうと何だろうと騒動を起こしてしまい、何かしらの要素で目立つことは避けたいのか、ラースが尤もな提案を出す。
されど未春はニヒルな笑みを浮かべて、チッチッチッ
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