またも登場、奇天烈な話題
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太陽も山の影から顔を除かせ、スズメが囀り飛び立つ頃。
慧理那に迷惑をかけてしまったという罪悪感からか、総二はその後如何謝ろうか悶々と考えてしまい、結局登校時間近くまでボ〜ッと過ごしてしまう。
制服に着替えた己の身体が、鉛と化した様な精神的負荷で足取り重く、肩を落として階段を下りリビングに辿り着いた総二。
……そこでやっとこさ、可笑しな事が起きているのに気が付く。
それは総二以外の全員が揃っているのに、談話もなくシーンとしている事だ。
何時もならば愛香とトゥアールが、暴力に罵倒にとやんややんや大騒ぎし、グラトニーまで加わったのだからより一層ヒートアップする筈。
なのに、不気味なぐらい静か。
頭の切り替えが済んだからか、総二の顔にも不安だけでなく疑問が浮かぶ。
「そうちゃん、ちょっと来てみなさいよ! すごい事になってるわよ?」
「……すごい事?」
何時もTVでいじり倒される自分の姿は最早定番で、彼もまた何時ものソレだろうと呆れながらも、言われるがまま画面を覗きこんだ。
「な……!? つ、ツインテイルズの映画化って……しかもハリウッドォ!?」
そして予想の外を悠々と行く、思わぬ急報にテレビ画面目掛け、身を乗り出してしまった。
昨今フルCGの映画は珍しくないし、アクション映画でも要所要所に取り入れれば大概の場合は何とかなるだろう。
(でも、ネックは其処じゃあ無くてさぁ……)
そう、問題はそこではなく、かといって細々としたモノですらなく―――ずばり、テイルレッドそのものの“容姿”にある。
小学校低学年でも通用する幼い外見なら、当然役者だってそれ相応の子役である必要が首を擡げる。 しかし、人外の腕力で大剣をブンブン振りまわすならCGで誤魔化せるから兎も角として、他の豪快なアクションなどその歳の少女が出来るものでは到底無かろう。
縦しんば出来たとして、台詞回しはどうするのだろうか。
もしかすると、その歳で既に片鱗を見せている、天才子役が抜擢されるのかもしれないが……。
突飛な方向へねじ曲がらないか、不安に思う総二を余所に、キャスティングが発表された。
「……ねぇ総二。この人、世界的なオスカー女優じゃなかったっけ? もしかしてそっくりさん?」
「……いや、残念だけど、っていうか俺も否定したいけど……多分見間違えじゃないと思う」
何と幼いテイルレッド役に選ばれたのは、妙齢の美人女優。
その後英語で語られた意気込みに合わせ、日本語の翻訳テロップが画面下に流れるが、やる気十分といった感じの翻訳に対して女優本人の顔はかなり苦々しいものであった。
「……仕事、受けなければ、いけない……ぶっちゃけ、ファン。でもツイ
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