第七十七話
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、〜ればなんて事は考えるだけ無意味なこと。世界は結果が全てでしかないわ。それに、お前はあの場においてはベストを尽くしているわ。何も悔やむところはないはずよ。……お前がそこまでしなければならない義務は無いじゃない」
「姫、君の言いたいことは分かるよ。だけど漆多は俺との戦いを望んでいる。すべてを失ったあいつは俺を殺すことで全てにケリをつけようとしているんだよ。だから……俺にはそれに答える義務があるんだ」
そう。
漆多は俺を斃す事で喪失感を埋めようとしている。俺は王女を護るため、そしてこれ以上の犠牲者を出さないため……いや、こんな考えは偽善か。ただ相手は誰であろうと関係なく、寧々を殺した寄生根を叩き潰すために漆多を斃すのだ。
「仕方ないわね、私もついて行くわ」
「いや、姫は連れて行かない」
「な……。寧々さんが殺されたのも、漆多や他の生徒が寄生根に取り付かれ多くの人を殺したことも、そしてシュウ、お前があんな目に遭ったのもすべて私のせいじゃない。私がこちらの世界に逃げてこなければ何も起こらなかった。すべて私の責任よ。お前の論理を押し通すというのなら、私も行かなくちゃならないはずよ。すべてのリスクをお前だけに押し付け、私だけが安全な場所でいられるわけがないでしょう」
俺は首を横に振った。
「駄目だ。姫は残るんだ。……確かに姫の言うこともわかるよ。だけど、今度だけは俺と漆多の問題なんだ。だから絶対に連れて行かない。行けないんだ」
「お前、……死ぬつもりなの? もしかして、漆多と刺し違えるつもりなの」
王女はポツリとつぶやいた。
「違うよ。俺は死ぬつもりなんてないよ。今回は俺も全力で戦わなければならないんだ。どんな状況になるか想像も付かない結界の中で、姫を護りながら戦うのは難しい。理由はそれだけだよ。……俺は結界内すべて焦土化させてでも勝たなければならないんだ。だからそこに姫がいたら勝てない。勝利するためには、姫を連れては行けない」
「見くびらないで。自分の命くらい自分で護れるわ。それに、私を護れないくらい不利な条件で戦うことを回避すればいいのよ。彼の有利な条件で戦う必要なんてやっぱり無いじゃない」
「姫、……聞いてくれ。姫が言うように、もし、俺が戦いを避けて自分に有利な条件であいつを戦おうとしたら、その条件を満たすためには時間が必要になるよね。それまでは逃げ隠れしないといけないんだろうね。仮にそうするとして、教えてくれないか。あいつがあいつでいられるのは一体どれくらいなんだ? ということを。これまで戦った如月や蛭町も、結局は自我を失いただの化け物になってしまった。きっと、いや、間違いなく漆多もそうなるんだよね。……そうなったらただ姫を狙い殺戮を繰り返すだけが目的のものになってしまうんだろう? それじ
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