第七十七話
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ケットにねじ込む。
「ふふん、……漆多って奴からなんでしょう? 」
背後で王女が呟く。
「え、……ううん、違うよ。本当に」
その声は震えていなかっただろうか? 俺は恐る恐る振り返った。
「私に嘘をついても無駄よ。ちっとも嬉しくないけれど……お前の考えることは、すべて私に筒抜けだってこと忘れたの? 」
呆れたような顔でこちらを見ている。
「ああ、……そうだったね。うん、そうだった。しかし、ヤレヤレだよな。忘れていたよ。姫に隠しても仕方ないか。……そうだよ、姫の言うとおり漆多からのメールだよ」
「で、何なの」
「ここから電車で一駅向こうに市立植物園があるんだけど、そこで待っているから、一人で来てくれってさ。大事な話があるそうだ」
王女はどこで手に入れたのか学園都市の地図を取り出し、植物園の位置を確認し始める。地図上のあちこちに赤いボールペンで丸印がつけられ、見たことのない文字がたくさん書かれてある。これが王女の世界の文字なんだろうか?
「……なるほどね、あの子も馬鹿じゃないみたいね。……むしろ、結構エゲツナイと言ったほうが正解かしら」
深刻そうに呟いた。
「どういうことなんだ」
「前に地脈の話をしたでしょう? 空間や地下を巡る流体エネルギーのことを。善なるもの、悪しきもの、中立なるものそれぞれのエネルギーが地上を流れている。そしてこの学園都市は地脈の量が他の地域と比べてかなり多いの。漆多が選んだ場所は、私が調べた限りでは学園都市でも5本に数えられるくらいのエネルギーの吹出口となっている場所なのよ。……それもあの子にとって有利な地脈のね」
「地脈の噴出口のあるなしで何がどれくらいの違いがあるっていうんだい? 」
「実際にあの子が能力を発動させてみないと分からないわ。でも寄生根にとって有利な事は間違いない。考えつくのは魔力は地中よりずっと供給されるから、彼の魔力が尽きることが無くなるわ。当然、その能力も飛躍的に増大されるでしょうね。……そうなると、施術される結界の影響力も予想しきれないわね。
基本、結界というものは、外からの侵入を防ぐだけでなく、結界内を施術者にとって有利な状況に変えてしまうことなの。さらには取り込んだ敵(獲物)の能力をできる限りそぎ落とすためのものなの。無尽蔵な魔力を得た寄生根による、その張り巡らされた結界の中で戦うとした場合、お前がこれまでの戦いの中で経験したこととは比較にならないくらいの苦戦が予想できるってことね。しかも彼は3人目の宿主だ。宿主を変えるたびにその宿主の能力を吸収して強くなるって言ったわよね。……すべてがお前にとっては不利な条件だらけよ」
「そうか……苦戦は免れないってことなのか。……でもどの程度苦戦するかも未知数ってことだよね。つまり
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