第七十七話
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か? 躊躇無く、親友を屠れるのか?
答えは今は出せそうにない。いや、出したくないんだ。できることならずっと、……永遠に引き伸ばしたい。しかし、幾許もなく、俺たちはその回答を迫られ、望む望まないにかかわらずその結論を出すことになるんだ。
それは絶対不可避な宿命なんだろうか?
あいつとは幼馴染で、小さいころから良く遊んだ。何かするにもあいつと一緒だった。買ったばかりの自転車で、親には内緒で二人で遠出して、めちゃめちゃ心配させて叱られたり、悪戯をして先生に思いっきりぶん殴られたこともあった。小さいころからの付き合いだから、お互いのことは自分の事のように知っていた。だからお互い本音で話すことができたし、喧嘩もよくしたな……。
「しばらく二人で黙っているといい。その沈黙に耐えられる関係かどうか」という言葉があるけど、振り返ると俺たちはお互い無言の時間があっても、ぜんぜん気にならなかった。
俺とあいつは親友だったと思うし、今でもそうだと俺は思っている。
そんなことをいろいろ考えながら街をふらつき、あてもなく歩いて時間をつぶしながら、俺は部屋に帰った。帰ると王女は起きたばかりだったようだ。眠そうな顔で俺を出迎えてくれた。
そして、晩御飯の準備を始めた。
王女と出会ってから、料理のレパートリーがかなり増えてたんだ。
毎日毎日弁当ばっかりじゃ栄養のバランスが悪いし、飽きてしまうからね。一人暮らしなら適当に済ましてたのに、ずいぶんと変わってしまったものだと自分でも思う。
料理本も図書館で借りたし、ついには自分で買ったりしてる。手際も結構良くなったかな。
そんなこんなで出来上がった「きのこと鶏のささみのホイル焼き」と「かぼちゃの南蛮漬け」「キャベツと油揚げの味噌汁」を食卓に並べていく。
「わーい、美味しそう」
王女が嬉しそうにそれを見る。
唐突にテーブルの上においた携帯電話にメールが届いた。
ディスプレイを見た。
―――漆多からのメールだった。
俺は王女に気づかれないよう、こっそりとメール本文を見る。
(すべてのことにケリをつけたい
市立植物園で待っている
一人で来てくれ)
ついに、来たか……。
それが最初に思ったことだった。
「誰からなの? 」
と王女。
「う、うん。ごめん……姫、ちょっと今から出かけなくちゃならなくなったんだ。だから、食事は一人で済ませておいてくれるかな」
「どうかしたの? 」
「ちょっと実家のほうで問題が起こったみたいで、今すぐ来てくれって亜須葉からメールが来てね。ちょっと帰るのは遅くなるかもしれないから」
そう言いながら俺は部屋の隅に脱ぎ捨ててあったブルゾンを手にし、食卓においた財布をポ
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