第七十六話
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する格好をする。
刀身は見せないが、そのなんだか古めかしい日本刀からは、えもいわれぬ狂気にもにた威圧感を感じる。抜刀せずとも斬られる、そんなかなり危険な感じ。
「それ、まさか本物? 」
「当然じゃない。私の愛刀【百人藤桜】の前に敵は無いわ。刀身は古いけど、鞘や柄、鍔は最新式なのよ。それに何よりも、……私、相当に強いわよ」
当たり前のように答える。
この子何者なんだ?
「だから暴漢に襲われたって、ぜんぜん平気。それより、襲ってきた暴漢さんが大変なことになるかもね。生きていられるかなあ」
「そんなの持っていたら逆に君が警察に捕まるぞ」
「大丈夫よ、許可は持ってるから」
そんな許可証があるなんて、聞いたことないぞ。
「はあ? う、うん、まあ、……よく分からないけど分かったことにするよ。とりあえずそれについては保留ということにして、えーっと、俺を待ってたみたいだけれど、何か用があったの」
どうも彼女は普通ではないようだ。普通ではない世界の住人らしい。よって俺の持つ常識を当てはめるのはあまり意味がなさそうなので切り替えることにした。
彼女が真剣を持つのは普通なんだ。そして剣術に長けているから殺人鬼が徘徊する町でも一人で平気なのが常識なんだと。
「私ね、シュウ、あなたが月人家の人間だって知ったから、一応、挨拶をしておこうと思って、わざわざ待っていたのよ。事前にこの学校には月人家の人間がいるとは聞いていたけれど、顔までは知らなかったからね。職員室で偶然、あなたが来たときは驚いたわ」
何故か真顔で答えるエイレ。
「俺が月人家の人間だと何かあるのか」
「当然でしょう? 京裏四家の月人といえば知らない者はいないでしょう? 月人家の人間が転校する学校にいるのなら、一応挨拶だけはしておくのが同じ道のものとしての当然の礼儀でしょ」
「え、そうなの? まあ、そりゃ古くからある家みたいだけれど、別にたいしたことないよ。古いだけでこれといった血筋じゃないみたいだし、いろんな事業をやっているけどそれほど儲かっているわけでもないし、そもそも俺の家くらいの稼ぎの家なら他に腐るほどいる。親戚に地方議員はいるけど政治家家系というわけでもないし。ちょっとした小金もちって感じだよ」
「それは表向きの顔でしかないじゃない。……そんなものは何の意味もないわ。そりゃもちろん本当の月人家の姿を知る人は少ないかもしれないけれどね。ん、あれ? ……まさか、あなたは知らないっていうの? 月人家の総領なのに? えーえー!! 総領なんでしょ? 左肩の後ろに刺青があるんでしょう? 形は真向き月に星の刺青が。上向きの三日月のかけた部分に丸い小さな星がある紋様が。……こんな時期に私が何でこの学校に転校して来たかも父君様から聞かされていない
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