第七十六話
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でに校舎内には人気がほとんど無くなっている。
靴を履き、外へと出る。校門の前でたっている警備の警察官に軽く会釈をして、校門から出るとそこには職員室にいた転校生が立っていた。
「どうも」
そう言って彼女はこちらを見て、ニコリと笑った。
どうやら俺を待っていた感じなんだけど。
「ああ、辻さん」
「そう。辻月丹映礼(つむじ つきたみ えーれ)よ。長ったらしい名前だからエイレって呼んでちょうだい。ふふ、よろしくね」
そうフルネームを名乗ると微笑んだ。
背丈は俺よりちょっとだけ低いくらいか。どうみても外人さんだな。スタイルが凄くいい。腰の位置がぜんぜん違うよ。
「俺は月人柊。ところでさ……キミ、こんなところに一人でなにやってんの。誰かを待っていたっていうのか? 」
「うん? 私が待っていたのは、あなたなんだけど。一人でいたら何かあるのかしら? シュウ」
いきなりなれなれしいなあ。
「じゃあ……エイレで良かったよね。エイレは最近の学園都市で起こっている事件の事を全然知らないのか? 」
俺も彼女のことを名前で呼ぶことにした。うん、普段ならそんなことできないんだけど、何か彼女は名前で呼んだほうが相応しいイメージがしたんだ。それに向こうが名前で読んでるからバランスも考えた。
しかし、……なんか能天気な子だな、と俺は半ばあきれ気味に聞いてたんだけど。
「ううん、もちろん知ってるわよ。ここの学校の先生や生徒が殺されているのよね。そして連続殺人鬼の犯行の可能性があるらしいんでしょ? 」
と、それがどうしたの? といった感じの口調で、実に暢気な感じで返してくる。
「あのね、女の子が、それも君みたいに凄い目立つ子が一人でいたら、普通でも変な気を起こす奴がいるってのに、こんな状況なんだよ? 来たばっかりで分からないのは仕方ないけど、ちょっとは自覚持ったほうがいいよ。なんかあまりに無防備じゃないのかな」
「うふふ、褒めてくれたのかしら?? ありがとね。でも、私なら大丈夫だよ」
そういって、手に持っていた鞘袋を俺に差し出した。
1メートルは越える長さだ。鞘袋っていうくらいだから日本刀が入っているんだろうけど、まあ多分木刀かな?
「木刀で殺人鬼から身を護ろうというの? エイレは剣道とかやっているのか」
「違うよ」
鞘袋から彼女は中身を取り出す。
それは木刀などではなく、そこにあったのは鞘に収められた明らかな日本刀の拵えだった。ただ、その形の細部についてはよく見る日本刀の拵えとは異なる趣、細工が施されているようだけれど。なんか、結構今風の素材が使われている感じだし、何かローマ字で刻印までされている。色も博物館とかで見た日本刀のものとは、明らかに違う。
エイレは柄を手にし、抜刀
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