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異界の王女と人狼の騎士
第七十五話
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言ってたのよ。でも、その矢先にあんなことになっちゃって……可愛そう過ぎる」
 俺は言葉にならなかった。あんなことを言ってきたのはただの気の迷いでしかないって思っていたのに、俺の行動が彼女を苦しめ、そして漆多にもひどいことをしていたなんて。

「ごめん。……俺は何もできなくて」
 そうつぶやくしかできなかった。

「あ、月人君を責めているんじゃないのよ。寧々も優柔不断だからいけないんだから。でも、月人君が寧々のことを気にかけてくれていたのが分かったからよかったわ」
 と、彼女は笑った。その瞳に少し涙が浮かんでいたけど。
「それと、寧々の遺体が行方不明なのはよく分からないけど、それについては、私達が悩んだってどうにもならないから気にしないで。多分、何かの事務処理上のミスでしかないと思うわ。警察って結構いい加減だからね。でも、あなたと話せてよかったわ。何かもやもやが吹っ飛んだ感じ。……私、用事があるから、じゃあね」
 
 鈴音聖夜は言い残すと走り去っていった。
 ふわっとした何かいい香りだけが残されていた。

 分かったことは、寧々の遺体が行方不明であることだけだった。何者かが寧々の遺体を持ち去ったというのか。何ていうことをするんだ。
 犯人は一体誰で、何の為に……。

 しかし、俺の中で犯人についての一つの仮説が展開されていた。

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