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異界の王女と人狼の騎士
第七十五話
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興味はないようだった。結構冷たいんだな。まあ、ただ休んでいるだけだし、学校側へ連絡も来ているんだから必要以上に心配する理由もないけれど。……普通なら、もっと心配してくれたんだろうけど、漆多は現在、全体的ないじめの対象者と見られている。そういった人間にかかわると自分まで被害を受ける危険性がある。だからあえて見ないようにしているように感じられた。いじめが起こりだしてから、生徒達は漆多から次第に距離を取るようになっていたんだ。そして目をそらしていたんだろうな。

 心配している人がいたとしたら、いじめの対象となっている漆多の不在が新たないじめの対象として自分が選ばれるかもしれないことを心配してるだけのようだった。冷たいけれどそれが標準的な反応のようだ。波風立てず、その日一日を平穏無事に過ごし、余計なトラブルに巻き込まれないように要領よくやっていく。どこでも同じ論理展開なんだ。つまり、いじめとは、盤根錯節(ばんこんさくせつ)なんだ。

 俺は心の中でつぶやいた。……少なくとも蛭町がらみのいじめ問題はもう二度と起こらないから安心してくれ。だって、あいつはもうこの世に存在しないんだからな。

 クラスメートからはこれ以上めぼしい情報は得られそうもないな。先生にも話を聞いたほうがいいだろうか? そう考えながら教室から出ようとしたと時に女の子とぶつかりそうになった。
「あ、ごめんなさい」
 謝る少女を俺は見る。クラスメートの鈴音聖夜(りんね のえる)だった。寧々とよく一緒にいた子だった。ショートカットで結構男っぽい格好を良くしていて、そんな感じだから結構さっぱりした性格で、タイプが全然違うから良く気が合う存在だって寧々が良く言っていた。幼馴染だったよな、確か。寧々たちと俺は、この高校で初めて一緒になったから、鈴音とはあんまり話したことがないんだけれど。
 彼女は少し考えたような顔をしたかと思うと唐突に
「ああ、月人君。……あ、ちょっといい? 」
 と、俺の目を見つめた。何か思いつめたような瞳だったのですこしたじろぐ。
 俺は彼女からは何も聞いていなかったからちょうど良かったので、頷いた。
 教室から出て、少し移動して人気のない場所へと。

 屋上手前の踊り場まで行くと、彼女は立ち止まりこちらを振り返った。
「月人君、聞きたいことがあったんだけど、今、いい? 」
 
「あ、ああ。うん、いいよ。何かな? 」
 ほとんど口を利いたことの無かった子だったので少し緊張する。

 鈴音はあたりをキョロキョロと見回す。
「……寧々と仲良かったよね」

「うん、そうだね。友達の漆多が彼女と付き合っていたからね。」
 俺は彼女が何か探りを入れてきているのかと思い、注意深く答える。

「漆多君からは何か寧々のこと、聞いてない? そういえば彼
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