暁 〜小説投稿サイト〜
異界の王女と人狼の騎士
第七十四話
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ったわけ。
 
 学園都市で発生した連続殺人事件は複数の県をまたいで設立されている学園都市の特殊性から、もはや一県警レベル(うちの高校があるのは奈良県)では対応しきれないレベルになっていると言え、警察庁広域重要指定事件に指定された。これは1985年から1995年に大阪府を中心に発生した殺人事件=大阪連続バラバラ殺人事件(警察庁広域重要指定事件第122号)以来の近畿での設置となった。警察庁からも専門の捜査員が派遣されることになったと書いてあった。
 専門の捜査官って何の専門なんだろうって思った。そもそも警察庁に捜査部門ってあったんだろうか? ネットで調べてもそんなのは存在していなかったけど。まあ、極秘裏にアメリカの連邦捜査局みたいな部署を作ったんだろうか。それはそれでいいとして、派遣されるのは、まさか連続殺人事件の専門? ってオチかな。仮にそうだったら絶対に解決しないよ、これ。
 
 犯人は、もう人間じゃないんだから。

 仮に見つけて逮捕しようとしたら、警官を何人連れてきたって鏖(みなごろし)にされるだけでしかない。特殊急襲部隊(SAT)でも多分、無理だと思う。最初から殲滅させる気で当たらないと、一瞬で全滅させられることになるんだ。でも、加害者の人権への配慮とかいう部分もあるから、いきなりの射殺命令を出せる指揮官がいるかどうかってところなんだよね。もっとも最初からやる気で行ったってあんまり結果は変わらないかもね。……寄生根とリアルで戦った俺が言うんだから間違いない。
 人知を超越した存在に人の力が通用するはずがないんだ。
 じゃあどうすればいいんだって聞かれると、強いてあげるとするなら、防衛省超自然災害対策本部特殊戦術隊第四課とかヴァチカン法王庁特務局第13課をぶつける意気込みじゃないと無理なんじゃないかな。

 そんなことについて王女といろいろ話していたら、いつの間にか時間が結構経ってしまい学校に行く時間になっていた。
 すでに王女にとっては寝る時間(普通の人間で言うと深夜2時は回っている感じ)だったらしく、時折うつらうつらしながら俺の話を聞いていた。でも限界を超えたのか、突然「もう寝る」と言った瞬間、そのまま寝てしまっていた。よっぽど眠かったのに無理をして俺の話に付き合ってくれたんだなって感謝した。一人で悶々としていたら耐えられなかったから。これでなんとか学校へ行く気力が湧いてきた。

 さっさと着替えると部屋の電気を消す。
 分厚い遮光カーテンのおかげで既に日がだいぶ昇っているのに部屋は真っ暗だ。王女はわずかな日の光でも眠りを妨げられるらしい。ベランダの窓も下半分にはダンボールを貼り付けてさらに日の光が入らないようにしているんだ。キッチンとリビングは扉で仕切れるから扉を閉めたら完全な闇になるようにしている。
 睡眠が一番
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ