第七十三話
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襲ってきてるけどね。
我慢してまずはは左手で折れ曲がった右手の指を一本づつ伸ばしていく。暫く押さえてると皮膚も接合し、動かすときちんと折れ曲がる。5本とも回復するのを確認したら今度は両手で間接じゃない場所で直角に曲がっている足首を引っ張って伸ばし、骨と骨がきちんとくっつくように調整する。暫く押さえているとくっつくはず。さすがに足はなかなか接着されないみたいだ。
「だいぶ酷いの? 」
心配そうに聞いてくる王女。なんだか顔が青ざめている。俺の怪我の様子が見ててショックだったのか、それとも寄生根から受けたダメージがまだ回復してないのか?
ごめんね、気持ち悪い映像を見せてしまって。申し訳ない。でもこれ、我慢してるけど実際折れてるんだから痛みは凄いんだよ。とか心の中で言い訳をしてみる。
「うん、なんとか外見は治ったようだよ。……でも、まだ全開にはできそうもないな。ちょっとなれるまでは怖くて動かせないかも」
そう言って、漆多がいた場所を見やる。
しかし、そこにはすでにアイツの姿は無かった。
この負傷した状態の俺なら殺れるチャンスと思えるのに……。
どうしてだ?
……余裕ってわけか?
「まあ、この状態で本当に戦いになったら、勝敗はどうなったか分からない。こちらにとっては幸運だったということだ。良い方に考えないといけないよな」
俺は誰とはなくつぶやいた。
次は恐らく本気の戦いになるだろう。その時はどちらかがどちらかを殺す事になるんだろう。
まったくもって、うんざりとさせられる運命。
逃れられない運命。
絶対不可避。
俺は、親友を裏切り彼の恋人に横恋慕し、危機にある親友の恋人を守ることさえできず、さらには俺への復讐を誓った親友を俺の大義のために殺す……。
俺は大きくため息をつくしかなかった。
「シュウ? 」
俺は王女と話しかけられて我に返った。
「どうかしたのか? 」
「あのね、もう動けるかしら? 」
「うん、大丈夫と思うけど、……何かあるの」
「まさか知らないとは思ってなかったから黙ってたんだけど、ね」
「はいはい」
と、気軽に俺。
「寄生根がここから去った以上、ここに張られた結界は自然消滅していく。それはどういうことか分かってる? 」
といって王女は外を指さす。
「あ! 」
彼女の言ったことに衝撃が走る。
大気が変質していくのが明らかに感じられた。
張りつめていたものが変質していく。
はじまりは緩やかだがその崩壊は次第に加速している。硝子が割れるような、何かが崩れるような音さえも聞こえてくる。
結界が崩壊していくのだ。
窓から見える景色に驚愕する。
細かく硝子が割れていくように外に張り巡らされ
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