4部分:第四章
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第四章
「それが見られるようになりました」
「そうだね。古い筈のものなのに」
「古いものを知ってそれで」
見方が変わった。こう話してだった。
私はだ。ふとだった。
その最初のモンテヴェルディの話を出したのだった。
「あの作品はギリシア神話だったね」
「はい、そうです」
「モンテヴェルディの作品は他にはローマを題材にしているけれど」
「そうした作品が何か」
「ギリシアにローマだよ」
私が注目したのはまさにそこだった。ギリシアにローマだ。
「どちらも欧州の文化や芸術のはじまりだから」
「モンテヴェルディもだったのですか」
「そう。温故知新だったんだ」
もっと言えばだ。それは。
「原点回帰だったんだよ」
「ギリシアやローマにも劇はありましたし」
「そうしたものを取り入れてああした作品になったんだね」
「そうだったのですか。歌劇もはじまりは」
「あの時代の芸術もね」
「原点に帰りそこから学んで」
そしてだった。そこからだった。
「ああなったんだね」
「そうだったんですね」
「新しいものは常に完全に新しいとは限らない」
私はこのことがわかった。ここでだ。
「過去にもそれはあるんだよ」
「そうですね。ギリシアにローマもそうですし」
「我が国もだよ」
そのだ。私達のこの祖国の文化や芸術もだった。
「そのことはね」
「我が国の場合は」
「色々あるけれどね」
ざっと考えてみただけでもだった。それは。
「茶道に華道に和歌にね」
「俳句、その他の古典もですね」
「多いよ。そうしたものを学びなおすと」
「新しいものが生まれてきますね」
「きっとね。そうなるよ」
こう話す私達だった。そしてだ。
今食べているきつねうどんにもだ。私は言った。
「このうどんもね」
「おそばもですね」
「文化だよ。だから昔のことを学べば」
「そう。新しい味が生まれているからね」
「常にですね」
こう話していってだ。うどんやそばも食べてだった。
「勉強することは本当に色々ですね」
「全くだね。じゃあ今は」
「はい、おそばを食べて」
「おうどんを食べてね」
文化を学ぶことにした。ここからも。
ユリシーズの帰還 完
2011・8・1
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