Fate/stay night
1194話
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大聖杯が存在する空洞から出た場所。そこで俺達は、尽きる事なく溢れてくる黒い獣を相手にして戦っていた。
黒い獣自体はそれ程強くはなく、それこそ兵士級BETAの方が余程に強いと思われる程度の力しかない。
だがBETAに負けず劣らず数で押してくる様子は、正直こっちの攻撃手段が限定されているからこそ戦いにくい相手だった。
「行け、炎獣!」
右手でゲイ・ボルクを振るいながら左手を白炎に変え、無数の炎獣を生み出す。
獅子、虎、狼といった風に地上で動き回る炎獣が殆どだ。
黒い獣が出て来ているのが洞窟の奥にある空洞の中である以上、空を飛ぶような炎獣では不利なのはしょうがない。
『GYAAAAAAAAAAAAAAAA!』
炎獣が一斉に吠え、黒い獣へと向かって突撃していく。
その数は数十……いや、百をも超えているだろう。
当然それだけの数の炎獣が一気に洞窟の中に入れる筈もなく、洞窟の入り口付近は外側からは炎獣、内側からは黒い獣といった風に正面からぶつかり合って、詰まっている状態になっていた。
そこまでやって、ようやく皆が一息吐く。
外に出ている黒い獣もいたが、所詮個体としては雑魚に等しい相手だ。あっという間に消滅し、一段落する。
「それで……今はいいけど、洞窟の中はどうするの?」
凛のその言葉に、皆が考える。
「倒すべき方法や手段は幾つでもあるけど、問題はそれをやると周囲にも被害が大きい事なんだよな」
「アクセルの心配も分かるけど、今のこの状況ではどうしようもないだろう? 下手にここで奴等を外に出そうものなら、それこそ柳洞寺がどうこうなんて被害では済まないぞ?」
綾子の言葉に否と放つ者はいない。
実際それは事実であり、ここであの黒い獣を仕留めきれない場合は冬木中に奴等が溢れ出る恐れがある。
その辺を考えると、どうにかした方がいいのは事実だが……
「私の宝具を使えばどうとでもなると思いますが、シロウの方の魔力が……」
「う、ご、ごめん」
セイバーと衛宮の言葉を聞くが、誰も衛宮を責める者はいない。
そもそも衛宮は原作でも凛とパスを繋いでようやく固有結界とかを発動させていたのだ。その凛が俺とくっついてしまったこの世界では、衛宮に十分な魔力を提供する事は不可能だろう。
いや、意外と桜ならいけるか?
桜……ライダーが、ふむ、だとすれば……行ける。そうして動きを止めて、一気に中に向かえば可能、か?
「アクセル、一体どうしました?」
眼帯越しでも俺が視線を向けているのに気が付いたのだろう。ライダーが不思議そうな声で尋ねてくる。
その声に不安の色や焦燥の色が浮かんでいないのは、柳洞寺に配慮しなければ最終的にはどうとでも出来ると判断している為だろう。
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