第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
口は災いの何とやら
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ター業界そのものだ。ただし、千尋の谷に突き落とされたのは獅子の子ではなく、ノミの心臓を持った武闘派ガチオタだという点もお忘れなく。
「じゃあ今後は『智明さん』で」
「おう」
「それじゃ今日はこれで」
「ああ。そんじゃ……って待て珠希。俺が一番聞きたいのはそれじゃねえ」
ノリツッコミできたんだ智明さん、とツッコミながら、珠希は教室内に引き返しかけた態勢のままストップする。
「あ、そういえば忘れてましたね」
「ああそうだ」
「連絡先、この際ですから交換しときましょう」
「それもそうだな……って違う!」
智明が一番聞きたいことが何かを察した珠希は、ブレザーのポケットからスマホを取り出した。が、二度目のノリツッコミをしてみせた智明は学年で一番――いや学校でも一番の美少女のアドレスは知らなくてもいいらしい。
意外とノリいい人だな。
いや、昔はもっとオレ様っぽい性格だったから地が出てるだけかな?
見事な勘違いをやらかしたにも関わらず、「えっ? 違うの?」と言いたげな表情を浮かべて珠希は冷静に智明の一挙一動に目を配る。
駆け出し(とはいえ当時中学生)の頃は背景ばかり塗っていたグラフィッカーだったものの、後にそれが動物、人間と移り変わり、初めてサブ原画を任されてからは書いて字のとおり寝食する暇を削って有名原画家への階段を駆け上ってきた身空、人間観察には余念がなかった。
「えっと、それじゃあ聞きたいことってのは?」
「何で珠希はうちの部活入らないんだよ」
「……へ?」
先程と同じような、けれど今度は「この人は何を言っているんだろう?」と言いたげに口を半開きにしたまま、珠希は智明に返す。
今度ばかりは智明の一挙一動に目を配る余裕はなかった。
「だからさ、お前は空手部入る気ないわけ?」
「ないです」
「即答かよ」
唐突な空手部への勧誘に、じゃあそれ以外にどう答えればいいのよ、と珠希は逆ギレ気味に智明にツッコみたくなったが、ここは廊下。放課後ではあるが、まだ同級生が残っていて視線が痛い。現状を再確認したら余計に同級生の視線という存在が肌に突き刺さってきた。
「なあ、珠希。お前、空手で帯持ってたよな?」
「持ってますよ。初段ですけど」
「そんだけの腕前あって何でやんねえの?」
「むしろ初段で辞めたあたしが、何で今さら空手やんなきゃなんないのかわかんないんですけど?」
「だってお前の実力、初段どころじゃないじゃん」
「それはもう10年近く前の話じゃないですか」
その10年近くの歳月、ひたすら空手に打ち込み鍛錬を積んできた智明と、ヒキコモリ気味に趣味のイラストを描きまくり、その後に中堅ブランドのergグラフィッカーから売れっ子の原画家・イラストレータ
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