第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
口は災いの何とやら
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「お、終わった……」
ひとりごちる珠希の頭上、担当教師を退去させるべく教室内に鳴り響くのは放課後を告げるチャイムの音であった。
体育の後に続く授業のために体力は残しておいたはずなのに、それを利用するのに必要な気力・精神力が機能不全に陥る(不謹慎ながら)実際の飛行機であれば間違いなくあの世直行ルートになってしまうという危機的状況を超低空飛行のまま切り抜けた珠希は、こないだと同様、糸の切れた操り人形よろしく机の上に突っ伏して窓の外を眺めていた。
これもSNSの力というものなのか、その実態は掴めないままだが、体育の授業で珠希が見せたバスケの実力を買って、早速「一緒にIH《インターハイ》行きましょう」と休み時間の度にバスケ部員の先輩やら同級生が声をかけてくる始末だった。
基本的に頼られると断れない長女体質。押しかけられて迷惑なのと同時に、勧誘を受ける度に断る罪悪感も募らせると、世界的売上を記録したゲームの原画・キャラデザにおいて本気の修羅場を潜り抜けた珠希であれど気力・精神力は底を突こうとしていた。
加えて春の霞がかった青空のように心のどこかがすっきりしないのは、まだ去年の――過去最高のクラスメートたちと巡り会えた――思い出を引きずっているからなのか、はたまたラノベ主人公のようにラブコメのひとつふたつ起きてくれない現実世界のせいなのか、そのあたりは珠希でもわからない。
とはいえ、少なくとも大半のラノベ主人公は男で、難聴・鈍感・低血圧体質の受けというのが基本でテンプレである。能動的に「俺がこの世界を救ってみせる!」と息巻き、異世界で勇猛果敢でアクの強い仲間と旅をして伝説の武器を集めて、眠れる勇者の血を覚醒させて魔王を倒すのはゲームの中だけで、実際のところは現実世界であろうとチート性能を隠してのんびり時々軽く修羅場りながらも宿屋を開いたり賢者の弟子をしたりしているほうが楽なのは間違いない。
つまる話、彼らのスタンダードな立ち位置は某関係式における「X×Y」の「Y」にしかなりえない。決してメガシ○カする某カロ○地方のお話じゃない。本来、(染色体が)ホモ接合しているのは人間の女性のほうなのにという真面目なお話に似せた、攻めと受けの話。
なお掘る・掘らないの選択は後回しでお願いします。某AAネタを本気にする人はスレから退去してくださって結構ですので。
話を元に戻して――誘い受けタイプの主人公というのも……まあ、なくはないが、そういう彼らが攻めに回るとすればそれは主にお盆と歳末の3日間に集中して大量発行される薄い本の中だけである。しかも今では逆セクハラや逆レ×プやらで土俵の外に押し出され、逆転する隙もなく
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