第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
メイドロボは割と欲しいんですよ。いやマジで
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瀬がなくなっていくようで悲しかったりするのは内緒の話だ。
「まーた無駄遣いか」
「どこかのおねーちゃんがもうちょっと露出を控えろとか言わなかったらこんなことしなくて済むんだけどねっ」
「よしわかった。それは譲歩の可能性含めて再検討しよっか」
「えっ? ホントに?」
家事全般どころか一家の財布の紐まで握る万能型長女相手には精神的にも物理的にも手も足も出せない家事能力皆無な妹は口だけを出して反論するが、ここで予想外の姿勢を見せた姉に目の色を変えて縋りついてきた。
「あくまで可能性だよ。か・の・う・せ・い」
「可能性が少しでもあるなら私は賭けるよっ!」
政治家的灰色会話をしたにすぎない珠希を前に、まだ灰色会話の恐ろしさを知らない結月はどこかの熱血主人公らしい台詞を吐いて両手を握り締める。
少なくとも、今結月が必要としている金額が常識的で良心的な範疇であれば最初から珠希が自分の財布から出すつもりではあったのだが、それはそれでただでさえ趣味には全力で財布の紐が緩い結月を甘やかすことになってしまうのでそっと胸にしまっておく。
「じゃあ兄ちゃん。また来るね」
「おう。珠希ちゃんも結月ちゃんも、またな」
「うん。それじゃね。おにーさん」
この趣味一直線の妹に灰色会話の恐ろしさを味あわせるべく、ひとまず魚屋の前を離れることにした珠希は、発泡スチロールの箱を持ち直すと家路に就く。
しかし――足腰使えるうちは立ってる親でも容赦なく使っていく、というのが珠希のスタイルでもある。しかもそれは親どころか兄や弟や妹すら遠慮なくこき使っていく傍若無人さと表裏一体である。
そして仮にこの万能型長女相手に抵抗しようものなら、智謀に長けたこの暴君はありとあらゆる古今東西の格言や理論を持ち出し、法律も武力も自在に使い分けて言い分を通させてしまう。
こんなんだから親しい友人からも「美少女の振りしたインテリ893」などと呼ばれてしまうのだが、当の本人はそもそも自身がインテリ美少女だという自覚がないのだからなおさらだった。
「それじゃ結月、これ持って」
「うん……って、えっ? ちょ、これすっごい重いんだけど?」
道すがら珠希から渡された発泡スチロールの箱を受け取ったが、その予想外の重さに油断していた結月は二、三歩ほど前後に大きくふらついた。
箱の中身は桜鯛一匹と冷却用の氷だけ。
しかし結月が油断していたのは珠希がさも軽そうに片手で渡してきたせいであり、この姉は結月とほぼ変わらない身長にして平均より重い体重と低い体脂肪率の持ち主であることを失念していたせいでもある。
なお一般的に知られているように、同じ大きさの筋肉と脂肪では筋肉のほうが重い。
ゆえに細身でありながら筋
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