第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
メイドロボは割と欲しいんですよ。いやマジで
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若大将も。また来るわー」
「今度はもっとマケてよね?」
「ははっ、ウチとしても努力します」
――やっと終わった。
奥様方の一方的なエンドレストークに飲み込まれた珠希が解放されたのはあれから20分近く過ぎてからのことだった。
ずっと箱を持ち続けていた珠希の腕もそろそろ疲れを覚えていたところ、エンドレストークの最中に別の来客対応で何度か会話を抜け出していた魚屋の兄ちゃんはすまなそうに帽子を目深にかぶって謝ってきた。
「いやぁ、悪いな珠希ちゃん」
「いえ、もういいです……」
奥様方に対しての敬語がそのまま残っていることにも気づかず、肉体的ではなく精神的な疲労にやられた珠希はあさっての方向を向いて返す。ひとたび捕まるとこうなることはわかっていた……はずだった。頭でわかっていたのと実際にこうして味わうのは別の話であるとはいえ。
そんなとき――。
「……あれ? おねーちゃん、何してんの?」
おねーちゃん、と背後から呼ぶ声に振り返ると、そこには去年まで珠希も袖を通していた中学校の制服に身を包んだ――とりあえずの身内贔屓含む――とびきりの美少女が立っていた。
「あれ? もしかして結月ちゃん? 大きくなったなぁ」
「やだなぁおにーさん。どこ見て言ってんのー?」
「あんたこそ身長以外のどこ見られてると思ってんのよ。結月」
「おねーちゃん。それ軽くセクハラなんだけど?」
魚屋の兄ちゃんには余所向けの愛想のいい笑顔を浮かべていた結月だったが、キワドいところを抉る珠希のツッコミで口を尖らせる。
――竜門結月。
色々と『普通』じゃない竜門家の一人にして、珠希を「おねーちゃん」と呼ぶこの世で唯一の妹。前述のとおり、おおきなおともだち()が大好きな現役の女子中学生である。
「……で、結月。あんたがここ通るとか珍しいんだけど?」
「そこのP’s Makerで買うものあるから」
姉妹の自宅と結月の通う中学校を結ぶ通学路にはないこの商店街、しかも家事などほぼしない結月がここに姿を見せる事由が浮かばなかった珠希だったが、結月は商店街の一角を指差して答える。
その先にあるのは『P’s Maker』という看板を掲げるお店。
朝、珠希に挨拶してきた睾×ナシ筋骨隆々の色黒オネエが店主を務める手芸品店だ。しかも家から一番近い手芸品店で、なおかつ現役コスプレイヤーの眼鏡にかなう最低限の品揃えもあるとなれば、その店主や店員たちと親しくなっておくのに当然損はない。実際、あのオネエ含む店員さんたちは結月の趣味も知っているし、何かと相談に乗ってもらったりしているらしい。
が、それはそれで姉としての珠希の立つ
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