第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
メイドロボは割と欲しいんですよ。いやマジで
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除すらまともにしないし、やれと言ってもできない。最大の難関はその問題母妹がそれすら補って余りある美しさと可愛さといい性格を持っている点だが。
「でも春のこの時期、サバとかメバルとかアイナメとか美味しいのに」
「そうよ。そうよね。でもこんな旬の時期に高いのよ?」
「それ、あんたいつもどの魚に対しても言ってるじゃない」
「そうよー。さっきだって若大将に散々愚痴ってたじゃないの」
「あー、俺は全然気にしてませんよ?」
この商店街では特に珍しくもないため、通行人も粗方スルーしているものの、40代の奥様方3人と20代後半にして鮮魚店の主を父親から継いだ青年、そこに学校帰りの制服姿のJKという異色の組み合わせによる井戸端会議――なる無駄話――はさぞ異質な光景なのだろうと思う。
「それで、珠希ちゃんは何を買いに来たの?」
「あたしですか?」
「そう。あたしたちよりよっぽど主婦してる珠希ちゃん家の献立は気になるわー」
「そうね。今日はどのお魚にするの?」
「えっ? 別にそんな大したもの――」
「ほら珠希ちゃん。朝に買い置きしてたヤツだよ」
本職専業主婦の方々から持ち上げられたせいで小心者が顔を出した珠希は、謙遜抜きで話題の行き先を別方面に変えようとする。まさか既に買っていて、取り置きまでしてもらっていると正直に告げても、珠希の家庭状況も表面的ながらお耳に拝借しているこの奥様方は軽く受け流してくれるものの、今日は買った品が品である。
そして、そうこうしている間にも魚屋の兄ちゃんは珠希の心境を一ミクロンたりとも察することなく、店の奥の業務用冷蔵庫から白い発泡スチロール箱を抱えて持ってきてしまった。
「あら、今日は大量なのね」
「あ、いえ、そんなわけじゃ……」
「何を買ったの珠希ちゃん?」
「えっと……」
「あ、これってもしかして桜鯛?」
周囲を取り囲んで次々と質問を浴びせる奥様方を前に、退路を断たれてしまった珠希は隙をつかれ、箱の中身を覗かれてしまった。
「え? 嘘っ?」
「ホントよ。ほら」
「あ、ちょっと――」
「あらっ、本当だわ」
何度でも改めて言うが、この長女体質者は群れの中で目立つのも苦手だが、人に群がられるのも苦手である。
「……ぅう、兄ちゃん……?」
「ああ、うん。何かすまんかった……」
これは結構値が張るのではないかと目利きを始めた奥様方をしり目に、箱を持ったままの体勢をキープせざるを得なくなった珠希が恨めしそうに魚屋の兄ちゃんを睨むと、兄ちゃんは口の端を引きつらせながら謝ってきた。もう立派に後の祭りであるが。
……
…………
………………
「それじゃあまたね。珠希ちゃん」
「は、はいぃ……」
「
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