第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
メイドロボは割と欲しいんですよ。いやマジで
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星河と昴の二人と別れ、珠希は朝に立ち寄った商店街へ向かう。
いつもの帰り道ではあるが、珠希も(作者も)忘れてはいない。今日は朝イチで買い取った桜鯛の回収がある。
「兄ちゃん。ただいまー」
「おう。珠希ちゃん、お帰り」
珠希が魚屋の間口から声をかけると、買い物客のおばちゃんたち三人に囲まれて世間話をする「魚屋の若大将」と、商店街の他の店主らや買い物客から呼ばれているらしい青年は、片手をあげて返事をする。
こんな、まるで自宅のようなやり取りも長年の通い詰めの結果だ。
「あら珠希ちゃん。学校帰り?」
「はい。そうです」
「ほんと、若い人って声からしてハリがあるのよねえ」
「あたしらにはもう厳しいわぁ」
「なーに言ってるんですか。まだまだ5歳くらいサバ読んでもイケますって」
「それがそうとはいかないのよぉ」
「そうね。目元とかシミとか、こればっかりはねえ」
今ではこうして40代の主婦の会話に難なく溶け込んでいけるくらい、互いにジェネレーションギャップを超えて気心知れ合える仲でもある。
魚屋に買い物に来ていた主婦の皆様はおろか、この商店街の長年の常連なら珠希の存在はほぼ知っている。小学生の頃から父や兄に家事能力のレベルアップのために足繁く連れてこられては、商店街のプチアイドル的存在にもなっていた珠希を知らないとなると、この商店街では新参者かモグリであると言われるくらいだ。
「んー。そういうときは青魚でも……と言いたいんだけど」
「それもなかなか厳しいでしょう? お値段的に」
「ですよねー」
肌のハリやらシミ対策で効果的な食材だからといって、魚屋の店内で葉物野菜やらレバーを挙げるのはさすがに憚られる。老化現象抑制目的の化粧品やサプリメントに至っては通販のCMで耳にするくらいでまったく知らない。そもそも母である彩姫がそういう類の化粧品を使っている様子がないにもかかわらず、まだ10代の珠希や結月と同様のレベルを維持しているというのだから驚きだ。
しかも対策に必要なEPAやらDHAを豊富に含む青魚は店頭に並んでいるものの、段ボールの裏に書かれている値段と財布の中身を総合的に考えるとそうそう迂闊に手を出せなくなっている。
所帯じみた話だが、これがやりくりというものだ。切り詰めるところを切り詰めなければ首回りがキツくなるだけでなく、万事に対応できなくなる。急転直下で何が起きようとぬかることなく対応し、平常に復旧するのは政府だけの仕事ではなく、家を支え守る者たちの仕事でもある。
特に珠希の家族はそれが壊滅的にできない。それなりの家事は父・大樹や兄・暁斗でもでき、弟の聖斗も軽い料理くらいなできないこともないが、母の彩姫と妹の結月は掃
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