不安-エンザイエティ-part1/怪しい挑戦者
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がうっすらと、まるで最初から無かったかのように消滅してしまったではないか。
あの液体にかけられたら、つまり…
消される。
最悪の事態を想定した三人は怪人に戦慄する。すると、その怪人はルイズたちにその不気味な並びをしている目を向けてきた。どういう意図かは分からないが、この怪人はどうやらとにかく人間を消したがっているようだった。
「さ、サイト!!早く来て!!」
ルイズが必死になって叫ぶ。その間に怪人はルイズたちのほうへ、不気味な声を漏らしながら近づいてきた。
それと同時だった。
「大丈夫か、三人とも!」
「サイト、コルベール先生!」
開きっぱなしの扉からサイトとコルベールの二人が飛び込んできた。
「な、何者だ!この神聖なる魔法学院に進入する不届き者め!」
怪人の姿を見たコルベールが杖を握って怪人と対峙する。
「こ、こいつは…!!」
一方でサイトは、その怪人の姿を見てぎょっとした。この薄気味悪い、グロテスクとも取れる容姿をしているこの怪人…間違いなかった。
『こいつは…誘拐怪人ケムール人!!』
ケムール人。かつてウルトラマンが飛来する以前の地球にて、いくつもの行方不明事件を起こした、未来に当たる2020年のケムール星から飛来したとされる宇宙人だ。
宇宙人がこうしてまた自分の前に現れる。
宇宙人は怪獣と違って地球人と互角かそれ以上の知性を持つ固体ばかりだ。それゆえに怪獣よりも知恵を働かせることができるという点は厄介だ。
「ケムール人!ルイズたちから離れろ!」
「いかん、サイト君!このような狭い場所で長剣の利用は危険だ!」
警告をいれ、デルフの柄に手を触れようとしたが、横からコルベールが活を入れてきた。
ケムール人との距離も、そもそもこの部屋自体も戦闘を行うには狭すぎる。よって、デルフを使った戦闘は行えず、ガンダールヴの力も発揮されない。ルイズの魔法は狭い場所では威力が集中しすぎる。コルベールも炎のメイジだから木製の部屋の中での利用は自殺行為だ。
ケムール人はちょうど部屋の真ん中に立っており、一見挟み撃ちしているようにも見えるが、全く違う。どちらかといえばケムール人に三人を人質にされているような状況というべきだ。
まずい。助けに来たのはいいが、かなりまずい状況だ。
ケムール人は、標的をサイトたちに変えると、彼らに向けて頭の突起から黒い液体を噴射した。
「先生!!」「ぬぅ!!」
二人はすぐさま廊下へ転がり出ることで避けた。しかし、このままでは何時まで経っても埒が明かない。
「サイト君、ここは私が応援を呼ぼう。すまないが、それまでなるべく1秒でも長く時間を稼いでくれ!」
「はい!」
コルベールは、ここはやむを得ず学院に残っている戦力集めのために一度引き上げた。サイトもそれを受け入れ、
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