不安-エンザイエティ-part1/怪しい挑戦者
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った。
シエスタが布団の山、ルイズがスープの鍋を運び、平民用寄宿舎の一室にいるハルナの元に向かう。
そしていざ、ハルナの部屋の前に立つと、シエスタは扉をノックする。
「ハルナさーん。ちょっとよろしいでしょうか?」
その時、二人は気づいていなかった。
ゆらりゆらりとした足取りで、二人に近づいてきた魔の陰が迫っていたのを。
その頃、ハルナは静かに部屋のベッドに腰掛けていた。もうすでに熱は下がっており、体調も万全だ。でも…ハルナはこの世界に来てから不安ばかりだった。
最初はもちろん不安だらけだったが、異世界にて出会った人たちはいい人たちだらけで良かった。何より、サイトの存在が大きい。彼女にとってそれが何よりも大きかった。
しかしサイトのことを考えると、また違った不安を覚える。それは、サイトが異世界の人たちと親しくなっていくことだった。誰とでも仲良くなれる。地球にいた頃から変わらない、サイトの成せる業にして最も魅力的な部分といえる。
故に怖いのだ。
サイトが、この世界で出会った人たちに未練を抱き、『地球に帰ることを拒む』ことが。
しかも、ルイズたちのようなかわいらしい女の子やキュルケのように綺麗な女性もいる。その人たちに心を奪われてしまうのもまた恐ろしい。
もしそうなってしまえば…
(私…一人になっちゃうのかな…)
仮病を使ってまで気を引こうとしているのも、彼の気を引くことで、二人で地球に帰るという目的を忘れさせないためだ。
(平賀君、早く来ないかな…)
ずるいとわかっていても、それでも…不安ばかりが増していくのだ。自分の中にある何かが膨らんで破裂していきそうなほどに。
だから、どうしようもなく求めてしまう。平賀サイトという、一人の少年を…。
すると、とんとん!と扉をノックする音が聞こえてきた。誰かが来たのだ!もしやサイトだろうか。仮病がばれることがないよう、急いで彼女はベッドにもぐりこむ。
「ハルナさーん。ちょっとよろしいでしょうか?」
ちょっと残念。どうやら来訪者はシエスタだったようだ。声ですぐに分かった。
「…はい、どうぞ!」
少し声が上ずりそうになりながらも、ハルナは返事した。
では失礼します、と一言いれて、シエスタが顔を出してきた。しかし彼女だけではなく、ルイズも一緒だ。シエスタは布団を持っており、ルイズは熱い何かが入っている鍋を持ち運んでそれをテーブルの上に置く。
何か嫌な予感を感じた。別に命の危険があるようには見えないが…。
「あの、ルイズさん。その鍋は?」
「あぁ、このスープはシエスタがあなのために栄養のある食材をかき集めたものよ。ちょっと暑いけど大丈夫。すぐによくなると思うわ」
「さすがミス・ヴァリエール!よくわかっていらっしゃいます。病気にかかった人はあえてアツアツで辛
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