不安-エンザイエティ-part1/怪しい挑戦者
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も通りの穏やかな。
「おや、サイト君ですか。ミス・ヴァリエールはご一緒じゃなかったのかい?」
「なんでか、シエスタと二人で話をしたいからってほっぽりだされちゃいましたよ。俺何か悪いことしたのかな…?」
後頭部を掻きながら、サイトは記憶を辿ってみるが、やはり思い当たる節が何も無い。
「サイト君に心当たりが無いのなら、君は悪くないと思うのだが…ミス・ヴァリエールも女性だ。親しい君に対しても明かされたくない事情があるのだろう」
「うーん、そういうもんなんですか?」
鈍感なサイトに、女性の心は良く分からない。
「はは、最も私も、女性付き合いがないからなんともいえないがね」
「ところで、何か慌ててたみたいですけど?」
「あぁ、そのことなのだが、サイト君は気づいていないかな?」
中庭を見渡しながら、コルベールはサイトに言った。
「え?」
「そろそろ夏季休暇が終わる頃だ。この時期になると、魔法学院には故郷から戻ってきた学院の生徒たちが集まるものなのだが…」
「今年は戻ってきた生徒が少ないってことですか?」
「ええ。今年はたまたま少ないだけだと思うのだが…」
妙な胸騒ぎを感じていた。特に確証というべきものはないが…。
と、そのときだった。
「きゃああああああああ!!!」
「!」
突然校舎から悲鳴が聞こえてきた。尋常じゃないその叫び声は、二人を動かすのに十分だった。二人はとっさに悲鳴の聞こえた方へと走り出した。
悲鳴が轟く幾分ほど前のこと…。
「ふんふん、ふふーん…」
鼻歌を歌いながら、シエスタは『北風と太陽』作戦のための用意した、背中に山のような布団を背負っていた。
「大丈夫シエスタ?結構積み上げてるし…」
ルイズはシエスタの背中に背負われた布団の山を見上げながら尋ねる。しかし布団以外にも用意しているものがある。それはアツアツに煮込まれたスープだった。しかも辛みのあるスパイスを含めた激辛料理だ。
「いえいえ、これもサイトさんのためです。これくらいの重さ、なんてこと…わっとっと」
「ちょ、ちょっと!やっぱり危ないじゃない!少しくらい私が持ってあげるわよ!」
だがさすがに彼女ひとりで持つにはきつかったらしく、ふらついている。しかもスープまで抱えているのだ。危険すぎる。自分が代わりに抱えた方がいいと思ったが、シエスタは首を横に振った。
「そ、そんな!ミス・ヴァリエールに荷物持ちをさせるなんて!」
「今は拘ってる場合じゃないでしょ?火傷でもしたらどうするのよ。ほら」
ルイズはシエスタからスープの入った鍋をふんだくり、代わりに持つ。
「さ、早くハルナのもとに行きましょ」
「す、すみません。ミス・ヴァリエール」
何事もなかったようにルイズは促す。シエスタも限界をすでに感じていたのでそれ以上何も言わなか
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