SS編 心身
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育てられて、クレスは本当に次元世界とは異なる世界へ渡ったそうな……」
「そうだったのか……しかし死ねない身体とは、一体クレスの身に何があったのだ……?」
ルアからクレスの事情を聞いて渋面を浮かべるクラウスだが、何故だか俺はこの話を聞いてから妙な感覚を抱いていた。クレスの口調、異なる世界……その部分に特に強い既視感がある。オリヴィエは話についていけずぽかんとしているが、俺はまさかな……と記憶に残る老婆を思い出し、隠れた因縁を想像して冷たい汗を流していた。
「ま、“簡単に死ねない身体”という意味では俺も同じか。ルア、もしかしたら俺とクレスには何らかの共通点があるかもしれないな」
「そうかもしれないけど情報が集められない以上、ここでは判断のしようがないわね。さて……サバタさん、私達は来るべき時に備えて、あなたを徹底的に強くするための協力をさせていただきます。理由は私達が言わなくとも、既にご存知でしょう?」
「まあ、具体的にわかっている訳じゃないが、一応な」
「別に言葉で表してもらう必要は無い。今は漠然とわかっているだけで十分だ。長く厳しい稽古になるが、最後まで付き合ってもらうぞ」
「私は少し特殊な立ち位置ですけど、鍛錬のサポートなら任せてください。これでも聖王を名乗る身、武術や魔法の指導は脳筋のクラウスよりわかりやすく出来ると自負しています」
「人の旦那を脳筋と言わないでもらいたいわね、永久独身胸ぺったんこ王」
「グハァ!!? ……いいもん、現世でどれだけ崇められてようとも、ゆりかごに乗った時点で私が永遠にぺったんこでぼっちだってわかってるもん。……ぐすん」
どんどん不名誉な肩書きが増えて、オリヴィエは隅っこでいじけてしまった。見かねたクラウスが、すかさず彼女をフォローする。
「大丈夫だ、ヴィヴィ」
「クラウス……ああ、やっぱりあなたは私の事をちゃんとわかって……!」
「うむ! 大平原こそ人の安住の地だ!!」
「どういう慰め方ですかぁ!! うわぁ〜ん!!」
「あ〜あ、トドメ刺しちゃった。死んでもクラウスのデリカシーの無さは変わらないままだったわ」
なるほど、昔からクラウスはこういう奴だったのか。でも……彼女、何だかんだでいじられるのを喜んでいる節があるんだよな。ゆりかごで他人と接する機会が無いまま命尽きたから、内容がどうであれ、会話出来る今を楽しんでいるのは間違いない。
という訳で俺は彼女の肩に手を置き、告げる。
「心配するな。あの聖王が実は被虐好きでも、俺は見捨てたりしない」
「それはありがたいのですが私、ドMじゃありませんよ!?」
「いや、わかってるから皆まで言うな。フェイトにも似たような所があったから、隠したがるのもわかる。だが自分の気持ち
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