SS編 心身
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【世紀末世界の事情】
〜〜Side of シャロン〜〜
「あ、良かった……気が付いたんですね」
「あの……ここは?」
「サン・ミゲルの宿屋です。太陽樹さまの根元で倒れていたので、僭越ながらここまで運ばせてもらいました」
「太陽樹……ああ、そういう事なんだね……」
目を覚ましたら、そこは世紀末世界だった……。
なんてどこぞのトンネルを越えたら的な出だしはともかく、私はどうやらサバタさんの故郷に来ているようだ。異次元空間に閉じ込められた私をサバタさんが最後の力で出してくれて……その結果、ここに転移したのは十分納得できる。ラタトスクの異次元空間はある意味世紀末世界に一番近い場所でもあったからね。それに太陽樹は次元世界に存在していないからその名前が出てきた瞬間、ここが世紀末世界であると察する事が出来た。
「自己紹介がまだでしたね、私は大地の巫女リタといいます。サン・ミゲルでは果物屋をやらせて頂いています」
「シャロン・クレケンスルーナです。それでリタさん?」
「リタ、と呼び捨てで呼んでもらって構いませんよ」
「あ、うん、わかった。じゃあ……リタ、ここがサン・ミゲルって事は……太陽少年のジャンゴさんや、星読みのザジさんはいるの?」
「ええ、いますけど……お二人を知っているんですか?」
「それについて話すと長くなるから、せめて二人を交えてから話したい。大丈夫、危害は加えないし、むしろここにいる皆には知ってもらわないといけない大切な話だから」
「大切な話? ……わかりました、あなたを信用します」
「あれ? 結構あっさり信じてくれるんだ……私、余所者なのに」
「シャロンさまの言葉や態度に嘘偽りは感じられませんでしたから。ところで、お身体の方は大丈夫ですか?」
「うん、おかげさまで平気だよ。リタこそ、看病とかで疲れてたりするんじゃない?」
「鍛えられてますからね、これぐらい何の疲れにもなりませんよ」
鍛えられてるんだ……。気のせいかリタの笑顔に薄ら寒い何かを感じたけど、なんか怖いので言及はしないでおこう。
さて、宿屋の一階にある椅子に座り、私はリタからサン・ミゲルの現状について色々聞いた。……かつて街の大半が吸血変異でアンデッドが闊歩する環境となってしまったが、結界によって無事に済んだ商店街から徐々に復興が進んでいる。実際、サバタさん達の実家があったのは陸番街らしく、そこにいたアンデッドはジャンゴさんが全て倒し、更に太陽樹が復活して結界が広がったおかげで危険が無くなり、再び住めるように瓦礫などの撤去を行っているとか。
「ジャンゴさまは各地へ出向いて、アンデッドの恐怖から人々を解放しています。つい先日も“死灰の街”にいたアンデッドを全て浄化
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