第二百三十六話 生きていた者達その二
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「戻られます」
「そうか、ではお迎えする用意に入りましょう」
「そしてです」
平手は長政にさらに言った。
「既に城の要所に兵を配しています」
「それは何より」
「そこに猿夜叉様も来られましたので」
そして彼が率いた兵達もだ。
「守りは万全です」
「では戦の采配は」
「お任せします」
その長政にというのだ。
「猿夜叉様の兵法を頼りにされててです」
「呼ばれた」
「ですから」
それ故にというのだ。
「ここはお任せします」
「それでは」
こうしてだった、長政が戦の采配を取ることになってだった。次の状況を待つことになった。安土城は城下町の民達を逃がしてだった。
兵達が立て籠った、その安土城にだ。
明智の軍勢は一路向かっていた、その兵は一万を越えており侮れぬ兵力だった。だがその兵を率いる明智も目は。
何処を見ているかわからない虚ろなものでだ、彼を支える斎藤も秀満もだ。
目は虚ろで表情もない、その三人を見てだった。
他の者達はだ、怪訝な顔になって話した。
「やはりな」
「うむ、おかしい」
「お三方共」
「目も表情も虚ろじゃ」
「何を考えておられる」
「おかしな」
「しかも」
それにとだ、彼等は今度は周りを見回した。すると。
そこにはだ、織田家の青い具足の者だけでなくだ。
暗い闇の色の具足の者も多い、その彼等も見てだった。
彼等は首を傾げてだ、このことについても言うのだった。
「あの具足は織田家のものではない」
「他のどの家のものでもなさそうじゃ」
「しかも知らぬ顔ばかり」
「これまたわからぬ」
「どういうことじゃ」
「訳のわからぬ者達も紛れ込んでおるぞ」
「しかも」
ここでだ、彼等はまた明智達を見るが。
三人の傍にだ、一際異様な者を見た。
「あの老人は何じゃ」
「気付けば殿のお傍におるが」
「明智家にあの様な者はおったか」
「見たこともない顔じゃ」
「一体何処の誰なのじゃ」
「あの老人は」
明智家の者達は首を傾げるばかりだった、あらゆることに。
だが考えてもわからないまま安土に進んでいた。
その安土においてだ、既にだった。
安土の城下町の民衆はだ、逃げ去っていてだった。城下町は閑散としていた。
その城下町を城の天主から見てだ、長政は共にいる平手に言った。
「一時のこととはいえ」
「はい、賑やかな町が静まり返るのは」
「残念なことですな」
「全くです」
平手もこう言う。
「このことは」
「しかしですな」
「それは一時のことです」
長政に答えた。
「ですから」
「このことには気を落とさずに」
「はい、備えはもう済んでいます」
「そして」
また長政から言った。
「一番の気掛かりも」
「
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