第二百九十話
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第二百九十話 弟のアトバイス
美樹が自分の風の魔法について五日程考えているとだ、その彼女にだった。
彼女の弟の信也がだ、姉がリビングでお茶を飲んでいる時にこんなことを言った。
「今日は寒いからね」
「ええ、確かに寒いわね」
「だからね」
それで、というのだった。
「暖房欲しいよね」
「暖房ね」
「入れる?暖房」
こう姉に言うのだった。
「そうする?」
「そうね、私も寒いし」
美樹も弟のその言葉に頷いた。
「それじゃあね」
「暖房を入れてね」
「そうしてよね」
「ここでテレビ観よう」
「じゃあ私もね」
美樹も今は暇だった、それでリビングの暖房を入れてだった。
そのうえで姉弟で同じ番組を観た、するとテレビを観ながら信也は美樹に今度はこんなことを言ったのだった。
「冬jは暖房でね」
「ええ、冬はね」
「それで夏はね」
「冷房よね」
「その時その時で欲しいものが違うよね」
「そうよね、本当にね」
「何か勝手だよね」
信也は笑ってこうも言うのだった。
「寒いと暖房が欲しくて暑いと暖房って」
「そうよね、ただ」
「ただ?」
「それが人間ね、そうよね」
ここでだった、美樹ははっとしてだった。
ふと気付いてだ、信也に言った。
「魔法もそうよね」
「お姉ちゃんが使う魔法も」
「そうよ、その時で違うのよ」
「そうなの?」
「ええ、それがわかったわ」
弟に顔を向けて笑顔で話す。
「有り難う、教えてくれて」
「僕何も教えてないよ、お姉ちゃんに」
「いえ、教えてくれたわ」
「そうなんだ」
「ええ、臨機応変ってことね」
「臨機応変って?」
「その時その時で変えるってことよ」
信也にこう話した。
「要するにね」
「そうなんだ」
「魔法はそうしたものね」
美樹の顔は晴れやかなものになっていた、答えが出た故に。このことを笑顔で弟に感謝するのだった。
第二百九十話 完
2015・11・15
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