番外編
友に花道を
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の余裕はないはずだ。おれは比叡の装備枠に余裕をもたせた覚えはない。違うか?」
「確かにそうだ……シュウはどうやって同行させる気でいるんだ。お前のプランは?」
「船を1隻準備してくれ。俺がその船を操縦して、シュウを運ぶ」
「キミは身の安全の確保のためにこっちに来てるんだぞ」
「俺は提督の分身だ。自分の艦隊指揮が信じられないのか? 絶対に助けてみせる」
「……チクショッ……俺の分身ならもっと扱いやすいヤツだと思ってたのに……」
提督が困ったように頭をボリボリ掻いて抱える。逆だよ提督。提督の分身だから扱いづらいんだ。
「……正直に言え岸田。シュウと比叡をくっつけるためだけに同行するわけじゃないだろ」
バレたか。確かにシュウと比叡の二人を結ぶ手助けをしたいという気持ちは本当だ。でも、シュウばかりにカッコイイことはさせてられんのだ。俺だってみんなの役に立ちたいのさ。そしてみんなともっと仲良くなりたいんだよ。カッコ悪いからこんなこと言えないけど。
「ニヤニヤ」
「ん? ……まあいい分かった。漁船ぐらいの大きさの特殊艇“おおたき”ってのがある。それを夕張と明石に準備させよう。何か要望はあるか?」
「あとで直接夕張と明石に伝える。ちょっと要望多いからな」
よし。提督が飲んだ。
「それから、シュウへは指輪が届き次第、俺が伝える。提督としての責任だ」
「そうか。本当は俺が伝えたかったんだが……分かった。頼む」
これでお膳立ては終わった。これで比叡は確実に助けることが出来る。いよいよの時は、シュウが比叡に指輪を渡してケッコンすればOKだ。
仮に二人が離れ離れになるとしても、比叡が轟沈するよりはいい。そしてケッコンすれば、二人の絆は形になる。それは必ず二人を引き合わせる。俺はそう信じている。今回、あきつ丸を通して比叡に導かれるように、俺とシュウがこっちの世界に来たように。
「……いいか岸田。二人を引き裂く危険性と引き換えの作戦だ。絶対に成功させろよ」
「分かってる。絶対に失敗はしない。比叡は必ず救ってみせる」
シュウ、花道は作ってやったぞ。あとは比叡たんとどうなるかはお前次第だ。悔しいけれど、やっぱり隣でお前を見てきて、比叡たんのケッコン相手はお前以外にいない。
きっと今日、お前は一生分の悩みを抱えることになるだろう。でも大丈夫だ。お前には味方が大勢いる。俺もお前たちにケッコンして欲しいけど、最期に決断するのはシュウなんだ。俺は、お前がどれだけ落胆していたかを見てきた。もう見たくないんだよ。絶望の顔でディスプレイの比叡たんを必死にクリックする友達の姿なんて。たとえ離れ離れになったとしても、絆が出来ていれば、そんなことはもうしなくていいはずだ。
提督が無線機のスイッチをひねる。鎮
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