番外編
友に花道を
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れない……ケッコンするチャンスが今しかないんだとしたら、させてやりたくなるだろう?!」
「……」
「提督だって同じはずだ! 大切に思う仲間と、その仲間が惚れている男がいる! そして、今が過ぎてしまえば、その二人がケッコンするチャンスは今後巡って来ないかも知れないとしたら……今ケッコンして欲しいと思うだろ!! 思わないのかッ!!」
提督がこちらをものすごい顔で睨む。俺を殴りたい衝動に必死に耐えているのかもしれない。拳に力が入り、ワナワナと震えているのがよく分かる。殴りたければ殴れ。おれは絶対に引かない。
「大淀さん」
「は、はい」
「昨晩俺たちが鎮守府に到着する前、提督から明石へ、ケッコン指輪の申請依頼があったはずだ」
「え……」
「時間的には、俺たちがこっちの世界に到着した頃。恐らくあきつ丸から無線で到着報告を受けた直後ぐらいのはずだ。明石に確認してみてくれ。その頃、司令部へのケッコン指輪の申請があったはずだ」
「わ、分かりました」
大淀さんが工廠に内線を繋ぎ、明石に確認を取ろうとした時、大淀さんを提督が制止した。
「確認しなくていい。確かに俺が申請した」
「やっぱり……俺ならそうすると思ってた」
「あれだけ楽しみにしていた比叡をずっと見ていたから、シュウも来たと報告を受けた段階で、比叡のために指輪を一つ準備してやろうと思ったんだよ。もしシュウが望めば、二人をケッコンさせてやろうと思っていた」
そう。提督も本心では二人にケッコンして欲しいんだ。今回はたまたま状況が特殊なだけで、何もなければ提督は、シュウと比叡をケッコンさせようと思っていたはずなんだ。俺の分身なんだから。
「だけどな。状況が状況だ。こんな状況の中で、二人をケッコンさせるわけには行かない。せっかく出会えた二人が引き裂かれるのは見えている」
「俺はこんな状況だからこそ、二人はケッコンさせてやるべきだと思ってる。たとえ指輪を渡さずとも、引き裂かれる可能性はゼロじゃない。ならば賭けたほうがいい。……それに、二人の仲に遠慮した結果比叡が轟沈してしまえば、それこそ俺はシュウに顔向け出来なくなる」
ここまで言っても提督は引かないが、俺も引く気はまったくない。何が何でも比叡は助ける。どんな手段を使ってでも比叡を生還させる。そのためのシュウであり、ケッコン指輪だ。
言ってみれば、おれが強硬にシュウを伴って比叡を助けに行こうと主張するのは……どんな手段を使ってでも比叡を助けようとするのは、全部シュウのためだ。俺はシュウに幸せになって欲しいんだ。泣きながらモニターを撫でる親友の姿は、もう見たくない。
「……金剛に応急修理女神を持たせ、それを比叡に渡すのはどうだ」
「駄目だ。あれは艤装に装備してはじめて意味を成す。今の比叡の艤装に装備枠
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