番外編
友に花道を
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に輪をかけて元気だった。俺はそれを間近で見ている」
「……」
「お前はそんな比叡を見てないから、比叡からシュウを奪うようなことが平然と言えるんだよ!」
ほら。提督はこういうヤツだ。シュウとの再会を楽しみにしていた比叡のために反対してくることは、容易に想像できた。
でも、それなら俺も提督に言いたいことがある。
「提督、俺はシュウとの再会を頼みにしている比叡のことは知らない」
「そうだろう。比叡からシュウを奪うことは俺が許さんッ!!」
「なら聞くが、提督は自身の姉と別れた後のシュウを見たことがあるか?」
「それは……」
シュウが入院していた時、俺は自分の鎮守府で起こったイレギュラーな事態をシュウに見せるべく、ノートパソコンを片手にシュウのお見舞いをしたことがある。
その時シュウは、比叡のグラを見た途端……比叡が“私の弟”と口走った途端、ボロボロと涙を流していた。向こう側の比叡に触れたいかのように必死にディスプレイを撫で、優しく小さな……でも泣き叫んでいるかのような悲痛な声で、必死に語りかけていた。
――姉ちゃん……返事して……姉ちゃん……
その後、シュウは時々うちに来ては艦これのゲーム画面を見たがるようになった。執務室の画面で秘書艦を比叡にしてやると、あいつは必死に、何度も比叡をクリックした。何かを期待するかのように比叡をクリックしては落胆し、俺にバレないようにこっそり泣いていた。
そしてシュウは、時々神社でずっと空を見上げるようになった。何かあったのか聞いても……
――いや……なんか色々分かる気がするから。ここに来ると。
そう答えるだけだった。
その時は変なやつだと思っていた。でも、今ならあいつが何を考えていたのか分かる。アイツは神社で、比叡を思い出していたんだ。表面上は取り繕っていても、彼女を求め続けていたんだ。彼女と自身をつなぐ絆を探していたんだ。
今回の再会を待ち焦がれていたのは、比叡だけではない。シュウも待ち焦がれていたんだ。比叡と会いたかったんだ。比叡がシュウを愛しているのと同様、シュウも比叡のことが好きなんだよ。
「そこまで分かってて、なおシュウに指輪を渡せと言えるのか?! お前はそこまで想い合ってる二人を引き裂くのがそんなに楽しいのかッ!!」
提督が、さっきまでの怒りにさらにブーストをかけてそう言う。俺と一心同体だというのに、まだ俺の気持ちが読めないのか。
「逆だ! 親友に惚れた女性がいるんなら、その手助けをしたいと思うだろう!!」
提督がハッとする。やっと俺の真意に気付いたか。自分の分身にここまで言わせるんじゃない……恥ずかしいだろ……
「友人に惚れた女がいる! 今その女は大ピンチ……今が会う最後のチャンスかもし
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